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Googleによってコミュニティも自動化されるのか

また本を読む習慣が戻ってきた! 毎日,移動中に楽しく読んでいる.最近読んだ本はウェブを進化させる人たち.「ITの新しい潮流を創る15人の声」と副題が付いている通り,色んなところの代表さんたちのインタビューをまとめた本です.覚えておきたい話がいくつもあったから,ボクの雑感を交えてログを残しておく.

ウェブを進化させる人たち
ウェブを進化させる人たち
  • 発売元: 翔泳社
  • レーベル: 翔泳社
  • スタジオ: 翔泳社
  • メーカー: 翔泳社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2007/03/17
  • 売上ランキング: 90540
  • おすすめ度 5.0

この本に掲載されているインタビューは2005年から2006年のものだと言うのに,今こうして読んでみても議論の焦点は変わっていないってのはすごいことだ.さすがのメンツです.

完全に自動化できないところがGoogleのアキレス腱

インタビュアーの湯川さんが聞くからなんですけど,皆さん「どうやってGoogleに対抗するか」って話をしている.何人かの人たちは近いことを言っていて,それが印象的だった.

例えばECナビ宇佐美さんは,次のように言っている.

やはりショッピングに関しては、ユーザーに対して単に情報を羅列するだけではなくて、きめ細かい見せ方が必要になってくるんじゃないかと思っています。その場合、単にWebサイトをクロールして情報を持ってくるだけではなく、情報をどのように整理して見せるかを考慮する必要があります。

続いて,newsingを運営するマイネット・ジャパン上原さんはコミュニティの話をしている.

コミュニティサイトについて話をするときには、どうしてもコミュニティの機能やプラットフォームの機能と、中にいる人々を一緒くたにして考えてしまうことが多いですが、これは完全に別物です。コミュニティサイトを作って成功させていこうとするときに重要なのは、必ずしも機能ではない。

オフラインでもオンラインでもいいので、実際に人の集まりがあって、集まっている人たち同士のコミュニケーションが面白いと、その集まり自体が熱を帯びてくる。熱量が生まれている、ということが重要です。

Diggmixi の成功も,初期の段階で良質なコミュニティが形成されたことが一因だと分析されている.また,アイスタイルの吉松さんも,@cosmeを支えているのは主宰の山田ユメミさんの熱意だと断言している.

これらはすべて,コミュニティを上手く運用して発展させていくためには,人の手や思いが必要だと言っている.逆に言うと,完全に自動化されたシステム上では,良質のコミュニティは醸成されないってことだ.Googleはなぜ「全自動化」できないサービスでは負けるのか?~前編~ – GIGAZINEでは,Googleの過去の歴史の中から具体例を出してこのことについて説明している.

Google SNS

Googleはきっと,すべてを自動化するべきだと思っている.コンピュータによる自動化こそが正義で,途中に人の手を介することは悪だとする節がある.Google SNSなんてものがあったら,きっとすべては自動化されているのだと思う.

ボクがGoogleの中の人だったらどんな「自動化」の仕組みを考えるだろうか.Gmailを使ってメールの送受信をしている人たち,Google Calendarでスケジュールを共有している人たち,Google Docs & Spreadsheetsでドキュメントを共有している人たちを自動的に「友達登録」してしまうこともできるなぁ.もっと突き進めると,Google Analyticsの情報を使って,サイト運営者と訪問者をアクセス履歴から結びつけることもできてしまう.

…これってどうなんだろう.とりあえず「プライバシーの侵害だ!」って叫ぶ人はいそうです.それに対するGoogleの反応は「すべてコンピュータがやっていることだから,悪さはしない」ってところか.

Googleは今後も王者であり続けるのか

こうしてWeb上での「コミュニティ」にだけ話題を絞って考えてみると,GoogleがWeb1.0的に思えてくる.もちろん,Webのリンク構造を利用したPage Rankアルゴリズムは疑うべくもなくユーザ参加型だし,Googleが提供する広告サービスも,今までこちら側にいたたくさんの人たちを一気にあちら側に連れていった.

しかし,一般ユーザ同士がつながる仕組みはほとんどない.はてなのように,ユーザ同士が idで呼び合えるようなサービスはないんじゃないか.少なくともボクは利用していない.

この本を読んでから,ボクの中でのGoogleは無敵じゃなくなった.これからますます一般ユーザが主導権を握っていくであろうWebの世界には,まだまだ未開の地が残されているだろう.時代は,関連した情報同士を結びつける「ハイパーテキスト」から,ユーザ同士を結び付けていく「ハイパーソサエティ」に向かうんじゃないだろうか.ハイパーソサエティ時代の覇者は,Googleじゃないのかもしれない.

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する

読みました.Googleの「恐るべき」ポテンシャルについて書かれています.

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グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する
佐々木 俊尚
文藝春秋 2006-04
売り上げランキング : 626

by G-Tools , 2006/10/06

cameraLadyのサイト内検索もGoogleを利用するようになり,ボク個人としてもWebにおけるGoogleの存在感は今まで以上に感じています.一般の人はGoogleの「検索サービス」以外の面をどれくらい認知しているのでしょうか.Googleがどうやって儲けているのか,そもそも考えたことのある人がどれくらいいるのでしょうか.ほとんどの人がWebを,そして検索サービスを利用する現在の日本において知っておいて損はないGoogleの光と影についての記述が面白かったです.

ボクが本を読むときは,ストーリーの中に必ず自分を存在させて読みます.ファンタジーであれば自分を登場人物に見立てて「自分だったらどう行動するかな」と考えてみたり,技術書であれば「自分はこれはできるけどこれはできないな」など,一人称の自分を持って読みます.この本を読んだときにそこに存在したのは,漠然と不安を感じながらも決して抗うことのできないまさに「Google信者」のような自分でした.Googleが手にしてしまった力はあまりにも大きすぎて,そっくりそのまま真似をすることもできず,別の方法で地位を奪うこともできず,現状では無敵とさえ思ってしまうほどです.

Googleの技術力には心から魅せられてしまいます.GmailもGoogleマップもGoogleカレンダーも,どれも便利で使いやすい.そして何と言ってもそれらのサービスが無料で提供されているのだからとんでもない.これから新たにWeb上でサービスをスタートさせようと思ったとき,「Googleがきたら終わりだ」「いっそGoogleに買収されよう」と考えるのは当然になってしまっています.それぐらいの技術力と,安定したサービスを無料で提供できる財力がGoogleにはあります.では,そんなGoogleへの信仰の何が不安なのか.

Googleはもはや,技術だけを持った組織ではないんですよね.一種の政治的な権力を持ってしまった.その点がボクらに不安をもたらすのだと思います.人を喜ばせるのが大好きだった無邪気な子供が拳銃を持ってしまったようなイメージです.何かをきっかけに大きな過ちを犯しかねない,そんなイメージが今のGoogleにはあります.ここでいう大きな過ちは本当に大きな過ちで,世界規模で人々に影響を与える可能性を秘めています.

それでもやはりボクがGoogleに魅了されるのは,ボクが曲がりなりにも技術者だからでしょうか.Googleがその技術力をもって,ボクらの想像もつかないような未来を創造してくれることを期待せずにはいられません.随所でGoogle批判の声を目にするようになった今ですが,力の使い方を間違わずにボクらを魅了し続けてほしいものです.