敢えてスコープを「自分が運営に関わっているカンファレンス」に限定して、語調を強めて書く。
「僕もカンファレンスを開催します!」と宣言するときに、決心するときに、目標を「開催する」と設定するのは明確に間違いなので、やめておきましょう。
なぜなら、あなたたちの貴重な想いと時間は「過去の開催のコピーを生み出すこと」ではなく「あなたが過ごす時間をもっと楽しくすること」のために費やされるべきだからです。「カンファレンスの開催」は目的ではなく、手段であると知るべきです。
お前の種を見せてみろ!
受け売りではありますが、大好きな一節を紹介します。
生きている花をつくろうとすれば,ピンセットで細胞を一つ一つ物理的に組み立てるのではなく,種から育てるであろう。
一輪の花──それも新種の花──をつくるとしたら,どうであろう。もちろん,一つ一つの細胞をピンセットで組み立てるようなまねはすまい。こんな複雑で繊細なものを直に組み立てようとしても無駄なことは分かりきっている。人手で一つ一つ組み立てられる唯一の花は,プラスチックの花である。生きている花をつくろうとしたら,方法は一つしかない──まず花の種そのものを組み立て,あとは種が花を生成していくにまかせるしかないのである。
過去の開催ノウハウをすべて取り入れて、そこで語られることをひとつひとつ丁寧に実践しても、そうしてできあがるのはプラスチックの花であって、本当にあなたが咲かせたい花とは違うのではないでしょうか。
なぜ「開催したい」と思ったのか、考えてみてほしい。もっと言うと、考えてみてほしい、というよりは、思い出してみてほしいです。あなたが感動を覚えた瞬間、感極まった瞬間、どんな未来を描いていたでしょうか。
ただただ「実現したいこと」を実現しよう
目標には常に「実現したいこと」を据えましょう。「誰が」「誰と」「どんな体験を通じて」「どういった状況で」「どんな気持ちに」なってほしいのか。
例えばそうですね、ボクに話をしてくれた子の例だと「僕が東京のカンファレンスで感じた興奮を、同級生の○○○くんとも共有したい。彼は□□□な話が好きだから△△△な発表を見たらきっと楽しんでくれると思う」みたいな感じです。
このイメージは具体的であればあるほどよくて、このイメージを強く持ち続けていれば、小さな判断に困ることがぐっと少なくなります。「発表の枠が5個のところに、6件の応募があったのだけれど、どうしよう…」なんてときは、イメージの中の自分がより楽しい想いをするにはどうすればいいか、を考えればよいわけです。何を残して、何を諦めるか。明確なイメージは判断の指針になってくれます。イメージを明確にするコツは、最初に「誰」を明確にすることです。「100人の参加者が満足するような…」なんて考えるといきなり問題が難しくなるので、まずは「友達の○○○くんが喜びそうな…」から考え始めることをおすすめします。
そうして「これは絶対にやろう」「これは、今回はやらなくても大丈夫」をひとつずつ積み上げていったとき、あなたが取るべき行動は「カンファレンスを開催する」ことではなくなっているかもしれません。でも、それでいいんです。ただただ、あなたが実現したいことを実現すればよくて、たまたまそのためにカンファレンスの開催が必要ならば、そうすればよいです。
少し本筋から外れますが、目標とする状態のイメージを明確に持つことには他にも意義があって、それは「評価」を与えやすくなることです。「○○○くんに×××と言わせたら勝ち!」と思って開催に臨めば、開催が終わったとき、目標を達成できたかどうか、きっちり評価できます。達成できなかった場合にも、どうして達成できなかったか、何が足りなかったか、考える機会を持てることでしょう。それはすなわち、成長の機会です。
あなたの種の見つけ方
あなたの種は、あなたの中にちゃんとあります。だけど、上手に見つけられない… そんなときは、楽しかったことを「カンファレンスを開催したい」と思ったときの感覚を思い出しながら、身近な人に、そのお話をしてみてはいかがでしょう。目の前にいるお話相手に映った自分から、自分の種が見つかることは多々あります。
それでもまだ、見つけられないときは。ボクでよければお話相手になります。お気軽にどうぞ。