#june29jp

アンビエント・ファインダビリティ

2006-08-15

やっぱりボクは写真が好きということで,写真絡みの話題を扱ってみます.まずはSONYの新製品情報から.

内蔵メモリーに位置情報・時刻を自動記録するGPSユニットキット発売
内蔵メモリーに位置情報・時刻を自動記録するGPSユニットキット発売

ソニーは、旅行や出張などで移動した位置情報や時刻を内蔵メモリーに自動記録する携帯型のGPSユニットキット『GPS-CS1K』を発売します。付属ソフトを用いることで、ソニー製“サイバーショット”及び“ハンディカム”で撮影した画像データと、本機で受信したGPS位置情報を時刻でマッチングさせ、パソコンソフト上の地図に画像データを表示したり、旅行の思い出を楽しく綴れる新しい感覚のアルバム制作などが可能です。

デジカメで撮影した画像に,撮影場所の位置情報を埋め込めるというもの.そのうち全てのデジカメにGPSユニットが内蔵されて,こういった機器がなくても同じことが実現しそうですね.

続いて,flickrの写真に簡単にGEOタグを付加できるブックマークレットを紹介します.

Sumaato Labs: Localize Bookmarklet - Map Your Flickr Photos
Sumaato Labs: Localize Bookmarklet – Map Your Flickr Photos

Overview

I just spend some time to create a slim bookmarklet that enables mapping, geocoding and geotagging directly in your Flickr photo page. It works with all common browsers without the need for any extension.

これ以上説明することはなくて,要はそういうことです.先に紹介したSONYのGPS-CS1Kとやろうとしていることは同じでしょう.

楽曲データに「アーティスト」「アルバム」「ジャンル」といったデータが付加されるように,写真データに位置情報が付加されるのは当然といえます.そんな話題で仲間と盛り上がったのが確か今年の1月です(卒論発表会を間近に控えてテンションがおかしくなっていた夜でした).メタデータが充実していく流れは今後もさらに加速していきそうです.いまさら「マルチメディア」なんて言葉に新鮮味は感じられませんが,データとデータを適切に組み合わせていくことで様々な形式のデータがどんどん価値を増していきますね.そして膨大な量のデータを組み合わせていくには,やはり不特定多数無限大の人たちの力が必要です.少なくともコンピュータの性能が進化するだけでは,メタデータ付きの世界中の写真を集めることはできないでしょう.

こんなことを真面目に考えるのも,アンビエント・ファインダビリティを読んでいたからかもしれません.なかなかまとまった時間が取れなくて,読み終わるまでにものすごい期間をかけてしまいました.とにかく実例が豊富で読みやすい本でした.Webの今を彩るキーワードも満載で,Web上で何かやろうとしている人たちは必読といってもよいでしょう.

photo

アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
ピーター モービル Peter Morville 浅野 紀予
オライリージャパン 2006-04
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by G-Tools , 2006/09/20

「アンビエント(ambient)」と「ファインダビリティ(findability)」という聞き慣れない2語からなるこの本のタイトル.第1章ではこの言葉を次のように定義しています.

findability

  • 位置特定可能な、あるいは進路決定可能な性質。
  • 特定の対象物の発見しやすさ、あるいは位置の識別しやすさの度合い。
  • システムまたは環境が対応している進路決定と検索のしやすさの度合い。

ambient

  • 周囲を取り巻く; 取り囲む(例:アンビエントサウンド)
  • 完全に包囲している

アンビエント・ファインダビリティとは、現在急速に出現しつつある新たな世界を表現する言葉だ。アンビエント・ファインダビリティの世界では、誰の居場所でも何のありかでも、いつでもどこでも見つけることができる。われわれはまだその世界まで到達してはいないが、間違いなくその方向に向かって進んでいる。情報はまさに文字通り空気中に存在しており、そのことがわれわれの考え方を実際に変化させている。そしてもっとも重要なのは、ファインダビリティが個人に自由をもたらすということだ。大衆のメディアとしてのウェブがマスメディアに挑むにつれて、われわれは自分で情報源を選択し、必要なニュースを選り分けられる、前人未到の能力を享受することになるだろう。

あとから振り返るつもりで要所には付箋をつけながら読んでいたけれど,いざ読み終わってみると付箋だらけでびっくりします.とても簡潔にはまとめられない内容です.読み応えもありました.最後に簡単にキーワードだけを並べておきますので,興味のある方はぜひ読んでみてください.

情報リテラシ ロングテール 迷宮(labyrinth)と迷路(maze) ノウアスフィア(noosphere) 軌跡的メタファーと容器的メタファー ボールドウィン効果 ムーアズの法則 ベル曲線とべき法則 ジップの法則 最小労力の原理 ベリー摘み(berrypicking)モデル メトカーフの法則 “Degree Confluence Project” RFID プッシュとプル アテンションエコノミー パーソナライゼーション ソシオセマンティックウェブ 活動性(activity)と媒介性(betweenness)と近接性(closeness) 限定的非合理性 情報過多

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