#june29jp

数値の変化をアピールするときの表現について考えたこと

2018-08-15

現代の日本で暮らしていると、日常的になにかしらの数字の変化をアピールする表現に出会うことと思います。

  • 当社比 1.5 倍!
  • 従来型に比べて 300% の性能
  • コストを 2 割削減

自然言語ですから、様々な表現が許容されるのはよいことだと思います。しかし、あまりにも独創的な表現をしていては肝心の「で、なにがどれだけ変わったの?」が伝わりにくくなってしまいます。ぼくが生活の中で目にするものの中にも「結局、前後の数値はどうなの?数値で見せてほしい」と思ってしまうものもあり、自分がアピールする側の立場だとしたら表現は上手にやりたいなぁと感じます。

大事なのは「事実を伝えること」「可能な限り誤解の余地なく伝えること」この 2 点です。こうして書いてみると、他者になにかを伝える上での当たり前のことしか言っていませんね。それでも、ひとつでも多くの文章が誤解なく事実をスムーズに伝えるものでありますようにと願って、ぼくが考えたことをここに書きます。

事実を伝えること

事実以外を伝える内容になってしまう原因は「悪意」「誤認」「無理解」くらいのものでしょうか。

残念ながら「悪意」を持って虚偽の内容を伝えようとする人に対してこのエッセイができることはありませんから無視することにします。続いて「誤認」ですが、これも認識をあらためてもらわないことにはどれだけ表現のテクニックがあっても真実に辿り着くことはないので、終わりがないのが終わりです。

「無理解」に起因して事実ではないことを書いてしまうケースこそ、ぼくがなんとかしたいと思っている対象です。ここでは「通勤」にまつわる数値の変化を考えてみましょう。

通勤所要時間の変化の例

たとえばぼくが引っ越しをして、通勤所要時間が「約 40 分 (引っ越し前)」から「約 20 分 (引っ越し後)」に変化したとしましょう。単純化のために、ここではどちらも秒は無視してぴったり「40 分」「20 分」ということにします。このとき、

  • 通勤所要時間が 50% になった

は、事実と言えるでしょう。では、

  • 通勤速度が 2 倍になった

は事実でしょうか?これはわかりません。なぜなら引っ越し前後の「通勤速度」は明かされていないからです。そもそもを言えば通勤速度という概念を定義して単位を与えるところから着手しないことには論じられませんね。ぼくらの通勤は等速直線運動ではないでしょうから、そう単純に「通勤速度は◯◯です」と言うことはできないはずです。

なんだか、突飛な例になってしまいました。ぼく自身も「引っ越して、通勤速度が上がったんだよね」と言う人とは出会ったことがないので、やや恣意的な例になってしまったでしょうか。

しかしですよ、これが「処理性能」のお話になると、こういう例ってちょいちょい見かけるのです。とあるプログラムがあって、もともと 40 分かかっていたものが 20 分で完了するようになったとき、それは「高速化」として語られたりしませんか?速度にフォーカスするのであれば、変化の前後での数値化された速度を比較して、どれだけ変化したかを示さなきゃいけないわけです。処理時間が短くなった、とアピールしたいのか、処理速度が上がった、とアピールしたいのか、方針に合わせて提示する数値が適切に選択されなくてはなりません。

事実を伝えるには「変化の前後における単位つきの数字を示し、それについてのみ述べる」を遵守することになるでしょう。

可能な限り誤解の余地なく伝えること

「誤解」というものは読み手側に帰するものですから、そう簡単なお話ではありません。だとしても書き手としては、確実に絶対に防ぐことはできないとわかりつつ、可能な限り誤解の余地を小さくする努力をしたいものです。

もう一度、先の「通勤」の例を持ち出してみましょう。

  • [A] 通勤所要時間は 20 分になった
  • [B] 通勤所要時間は 20 分だけ減少した
  • [C] 通勤所要時間は半分になった
  • [D] 通勤所要時間は 5 割減となった
  • [E] 通勤所要時間は 50% 改善した

ひとつの事実を、様々な方法で表現してみました。それぞれをどう感じるか、ぜひとも読者のみなさんにも考えてみてもらいたいところです。

たとえばこれが友だちとの会話だとすると、ぼくは [C] が聞きやすいかな〜という印象です。「最近、引っ越してさ。通勤時間が半分になったんだよね」「何分くらいかかるの?」「もともと 40 分くらいだったんだけど、今は 20 分くらい」「それは楽になったね」というスムーズな会話が思い浮かびます。

[E] はなかなか難しいな、と思います。数値の「増えた」「減った」と比べると「改善した」は数字が増えて改善となる場合も減って改善となる場合もあり得るので、読み手が考えることがひとつ増えちゃうイメージです。

こればっかりは、扱う数値とそれを取り巻く人々のコンテキストに合わせてよいものを選ぶしかないでしょうから、その都度でいくつか候補を出してベターなものを選択するプロセスにするとよさそうです。

個人的には、とにかくシンプルな表現を選ぶのが吉と考えています。「◯倍になった」「△だけ増えた」「□だけ減った」くらいの表現であれば、変化の前後をすんなりイメージできます。逆に「150% アップ」みたいな割合と増減の複合パターンはけっこう解釈を悩んでしまうことが多いです。世の中のあれこれを見ていると「150% になった」のケースと「150% 増えた (250% になった)」のケースの両方が散見されるので、結局のところ数値をじっくりと見ることになって、そうなるとサマライズの意味が失われちゃいます。

まとめ

数値の変化をアピールする表現においては「事実を伝えること」「可能な限り誤解の余地なく伝えること」を大事にしたい、という話を書きました。ぼくが強く意識していることをまとめるとこんな感じになります。

  • 事実を伝えること
    • 変化の前後の単位つきの数値から確実に言えることだけを言う
  • 可能な限り誤解の余地なく伝えること
    • 解釈に幅のある表現を避ける
    • シンプルに「◯になった (became)」「△増えた (increased)」「□減った (decreased)」にする
    • 状況に合わせて適切な表現を選択する

みなさんが心がけていることや気をつけていることなどあれば、ぜひ教えてください!

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CircleCI 2.0 に移行しました

2018-08-14

ここのウェブサイトは Hugo で生成していて、そのビルドとデプロイの自動化のために CircleCI を活用してきました。コミットログを見てみると、CircleCI を導入したのは 2017 年 1 月頃のようでした。

Try auto-deploy with CircleCI · june29/[email protected]

当時は CircleCI 2.0 の Closed Beta が進行していたころですかね。2017 年 3 月には CircleCI 2.0 Beta is Ready for Your Builds という発表が出ていました。ぼくが CircleCI を導入したのはそのちょっと前で、無邪気に 1.0 系を設定してしまっていたのだなあ。そんな CircleCI の 1.0 系は 2018 年 8 月末で提供終了になるとのことで、2.0 系への移行を行いました。

このスクリーンショットは 7 月 15 日にサイトに訪問したときにたまたま見かけた 6 並びのときのものです。かわいいから撮っておきました。

やったこと

  • Hugo の仕組みとは別に、ビルド途中で動かしている Ruby のスクリプトがあったので Golang で書き直した #51
  • hugogo を使える Docker イメージを用意した june29/golang-hugo
  • CircleCI 2.0 の設定ファイルを用意した #52
  • CircleCI 1.0 の設定ファイル、および、関連ファイルを削除した #53

これで無事に CircleCI 2.0 への移行が完了しました。そのあとにエッセイをひとつ書いて、ビルドからデプロイまでが問題なく動くことを確認できました。

https://circleci.com/gh/june29/june29.jp のログを見てみると、1.0 のときはビルドとデプロイにだいたい 120 〜 180 秒くらいかかっていたものが、2.0 では 60 〜 90 秒程度に納まっています。待ち時間が少なくなるといううれしい影響もありました。

夏休み期間中の自分のお道具箱のお手入れとしてちょうどいい塩梅の作業でした。楽しかったです。今後も CircleCI にはお世話になります。

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Slack の Reacji Channeler のすゝめ

2018-08-14

Reacji Channeler という、Slack 社が提供する Slack 用の便利機能があります。明示的にインストールしなきゃ利用できないので、Slack を使いつつも存在を知らないという人も多いように感じています。チャンネル数が少ない Slack Workspace ではそれほど意味をなさない、という性質もありますしね。一方、ぼくが所属するペパボのような数百人規模の組織で活用されている Slack においてはなかなかおもしろい働きをするので、周知のために書いてみようと思い立ちました。

Slack 社、これをどれくらい推したいのかよくわからないのもおもしろいです。公式っぽい機能のわりにはぜんぜんアピールする気配がないような。あと名前がわかりにくい!リアクジ・チャンネラー。たぶん「Reaction + Emoji + Channel」あたりを混ぜて生成された言葉。日本語でいうと「リアクション絵文字チャンネル太郎」みたいなニュアンスだと思います。

Reacji Channeler の機能

使い始めるには導入を済ませる必要があるので Reacji Channeler からエイヤッとお願いします。

導入が済んだら、続いて設定を施していきます。設定といっても作業は簡単で「任意の Emoji を、任意の Channel に紐付ける」それだけです。具体的には Slack の発言入力欄に以下のようにコマンドを打ち込むだけ。

/reacji-channeler :emoji: #channel

そうすると、Slack の発言に :emoji: のリアクションがついたときに #channel にシェアされるようになります。下のスクリーンショットは、ほとんどぼくが独りで活用している #29channel という Channel の様子です。ぼくは「大和田」という印鑑の Emoji がつけられた発言は #29channel に流れてくるように設定しています。

誰かが @june29 関連の話題に「大和田」の Emoji Reaction をつけるだけでぼくのもとに情報が届くので便利です。また、ぼくの勤務先の地域には「大和田」と呼ばれるエリアがあり、それ関連の情報もちょいちょい流れてきておもしろいのでした。

@kenchan も似たような設定をしていて、同じく印鑑の「高橋」の Emoji の Reaction がついた発言は @kenchan が個人でワイワイしている Channel に飛んでいきます。

ぼくのまわりでの Reacji Channeler の活用事例

ペパボの Slack には「エンジニアみんなが集まる場所」があって、多くのエンジニアや、あるいはエンジニアの生態に興味がある他の職種の人も自由に出入りする Channel になっています。そこの Channel にシェアするための Emoji が設定してあるので「これはエンジニアみんなと共有したいな」となったものはバシバシと飛ばされています。

Reacji Channeler を導入していなかったとしても「これは共有したい」と思った発言って Copy link して然るべき Channel にペーストされていくじゃないですか。それをもっと気軽に、カジュアルにやれるようにしてくれる感じです。

他にも「社が提供するサービスごとの Emoji が、そのサービスの Channel に共有される」設定があったり、この Emoji をつけたら広報のみなさんの Channel に共有される、といった使われ方をしています。おもしろ枠でいうと :curry: がついたら #curry にシェアされる、というのもあります。

より高度な使い方

Slack においては、発言するにはその Channel に Join する必要があります。しかし Reacji Channeler では飛ばし先の Channel に入らなくても利用できるため、一方的に情報を投げ付けることができます。この特徴を利用して、ぼくは @kenchan に一方的に投げ付けたい社内の情報をよく飛ばしています。ぼくの #29channel にも各方面からいろんな情報が投げ込まれています。

Emoji Reaction で発言を飛ばしたあと、Emoji Reaction を削除してもシェアされた発言は残ります。この挙動を利用すると完全犯罪が成立してしまってやばいです。たまに誰かが「大和田」の Emoji で #29channel に情報を飛ばしたあと、その「大和田」の Reaction を取り消ししているんですよね。誰が飛ばしてきたかわからなくなります。ぼくらはこの行為を俗に「投石」と呼んでいて、Reacji Channeler は投石器にもなり得るので注意が必要です。

まとめ

ぼくは大好きだけれど、観測範囲ではぜんぜん言及されていないようなので Reacji Channeler の紹介文を書いてみました。身近なところでの活用事例もあわせて載せました。後半は犯罪を助長するような内容にもなってしまいましたが、みなさまにおかれましては用法・用量をよく守り健全な Reacji Channeler ライフを送っていただきたいと思います。

興味を持った人は、ぜひあなたの Slack Workspace に導入してみてください!おもしろ便利な使い方が発見されたら @june29 にも教えてください。

読者の声

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有限の貴重な資源であるモチベーションを無駄にしない「Yes, And」のマインド

2018-08-03

「Yes, And」と呼ばれる考え方があります。コミュニケーションにおける「カタ」と言ってもいいかもしれません。デザイン思考を実践していく上で欠かせないとされるマインドです。ためしに「デザイン思考 yes and」あたりでウェブ検索してみると、たくさんの解説記事が見つかるでしょう。その中でも読みやすかったものをひとつ挙げておきます。

日本になくて、シリコンバレーにある「Yes And」のマインド

日本には存在しない、ってこともないと思いますけど。

先日、2018 年 4 月入社の後輩社員たちがふりかえりをする場があって、ぼくも場をいい感じにする担当として同席させてもらったんですね。彼ら彼女らのお話の中に「最初は、同期のみんなとチームを組んでなにかに取り組むのがすごく大変だったけれど、ひとりひとりが “Yes, And” の考えを体現できるようになってから一気にチームがいい感じになって、チームでの作業がすごく楽になった」という旨のものがありました。研修の前半で Yes, And の重要性を説いた人はいいお仕事をしているな〜と思いました。

「Yes, And」じゃないコミュニケーションはなにかというと「No, But」や「Yes, But」が挙げられます。それぞれ例を見てみましょうか。

  • [発端] ◯◯っていう企画をやってみるとどうかな?
    • [No, But 型] いや、それはお金もかかるしあんまりいい企画じゃないと思うよ
    • [Yes, But 型] おもしろそうだね!でも、予算の確保がむつかしいから実現は無理でしょうね
    • [Yes, And 型] おもしろそうだね!それを予算をあまりかけずに実現できる方法が見つかったら最高だね

うまい例を考えるのはむつかしいですね…!読んでくれている人に伝わるといいなあ。

「No, But」はいわゆる「否定から入る」ってやつで、頭ごなしに案を退けるカタです。ぼくが見てきた現場では「No, But」型を繰り出す人はほとんどいなかったように思いますね。わかりやすく角が立ちますし、意識的にも無意識的にでも避けている人が多い印象です。

「Yes, But」は「No, But」のときのような殺伐とした雰囲気を避けるためにいったん肯定している姿勢を見せて、そのあとにしっかり否定するカタです。これはけっこういろんな場所で目にしたり耳にしたりするパターンです。

「Yes, And」は否定を使うことなく相手にボールを返すカタですね。ある観点においては、こういうやり方がいいぞ〜とオススメされているカタになります。会話を止めずに命題を次々に変えて発想を連鎖させていく感じになります。

特にプロダクトに関するアイディア出しの場や、そういった明示的な場ではなくても日頃の何気ない雑談の中で発言においても、ひとりひとりがどのカタを選ぶかによってチームのエネルギーの総量はけっこう変わってくることでしょう。

お仕事や趣味で創造性を発揮したいシーンにて、モチベーションというのは有限の貴重な資源であると思い知らされます。乗り物でいえば燃料ですね。遠くに行くには燃料が必要で、燃料は無限に存在するわけではないので大事に使わなければなりません。また、より少ない燃料でたくさん移動するために燃費というものを気にします。

モチベーションを消耗させるのは簡単です。ネガティブな言葉を投げ付ければよいだけです。あなたがチームでなにかに取り組んでいるとき、あなたの言動でチームのモチベーションを消耗させてしまうとしたら、それは取り組みの価値を下げる行為と言って差し支えないでしょう。みんながみんなネガティブな言葉を撒き散らしていたら、チーム全員でチームの価値を下げるということです。全員で損を勝ち取っちゃいますね。

似たような話で、こういうツイートも見かけました。

「機嫌」と言ってしまうと日によって変化してしまう性質のような気がしますが、機嫌がどうであれ「Yes, And」のリアクションを保てるよう、スキルとして体得していきたいと思います。「No, But」「Yes, But」のリアクションを出すたびに見えないコストが発生している…と考えてみると、営利企業に身を置いている身としてはピリッとくるものがあります。

ぼくはチーム全員で得をしたいので、後輩社員たちから見て恥ずかしくない先輩社員であるためにも、あらためて「Yes, And」を実践していきたいと心から思いました。他の同僚たちともいっしょに実践していきたいと思い、こうしてパブリックな場所に書いてお気持ちを表明しています。正直、ぼくはまだまだ高いレベルで実践できているとは言い難いのが現状です。ぼくがみなさんのモチベーションをドブに捨てるような言動を繰り出していたら「Yes, And」と声をかけてください。

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Emojibility という概念

2018-06-24

はじめに

今日は、最近になって自分の口からポロッと出てきた Emojibility について書きます。ぼくの書く文章をよく読んでくれている人なら、もうすでに「こういう話だろうな」と察してしまいそうですね。いかにも @darashi が好きそうな言葉でもあります。

背景

Slack の「Custom Emoji」と「Emoji Reactions」の組み合わせがぼくらを大絵文字時代へと誘ってしまいました。

Slack に Emoji Reactions が登場したのが、たしか 2015 年 7 月 10 日頃です。

当初は「なんか新しい機能がきた!」と盛り上がってみんなでいろいろと試したものの、3 日後には「どう活用したらいいかわからない」となって、一時は下火になったような覚えがあります。

それからどういう道を経たのは今では思い出せませんが、2018 年 6 月現在、ぼくが所属する 10 個ほどの Slack Team のどこにおいても、Emoji Reactions はかなり重要な機能として活用されているように感じられます。

Cutom Emoji と Emoji Reactions の組み合わせは、ぼくらになにをもたらしたでしょうか?ぼくは「反応の可視化」だと捉えています。誰かが Slack に発言したときに、反応を発言で返すしかなかったら 100 人から反応を返すのはなかなか厳しいです。表示画面は有限な貴重なリソースですからね。これが Emoji Reactions だと「読んだよ」「めっちゃいいね」「最高!」「優勝!」という反応を 100 人から効率的に集めて可視化することができます。しかも Custom Emoji によってどんな画像も Emoji にできてしまいますから、その組織にマッチした反応のあり方を見つけることができます。

Emojibility

Emoji Reactions が日常を支える重要な機能となってくると、この流れに乗っかれるか乗っかれないかは大きな分岐となり得るでしょう。実例を挙げて説明します。

あんちぽさんが書いた図解・拙速は巧遅に勝るという記事があります。これは弊社内で繰り返し参照され、全社的に「速を出していこう!」という機運が高まりました。

このとき、社の Slack の「速」という Custom Emoji が大活躍したんですね。誰かが「速」のある行動をしたときに「速」という Emoji Reaction がたくさんつくという、こうして文字で説明してみるとなんてことはない事象であるものの、場に勢いをもたらす効果はバカにできないものがあります。

ふりかえってみると、速を重視するぞ!というコンセプトは「極めて Emojibility が高かった」のだと思います。Emoji にしやすい、Emoji を見たときにわかりやすい、という特性を備えていたことで、コンセプトの浸透がスムーズに進んだように思えるわけです。

声に出しやすさと Emojibility

SmartHR が組織運営で一番大切にしていること - 宮田昇始のブログ を読んで「おもしろい〜!」と思い、宮田さんにお話を聞かせてもらいに行った日がありました。そこで SmartHR の企業文化についていろいろと聞かせてもらって、自然な流れで SmartHR の価値観 についても会話しました。

「早いほうがカッコイイ」は、先ほどの弊社の「速」と同様のことを指していておおいに共感するところですね。他には「人が欲しいと思うものをつくろう」「自律駆動」「最善のプラン C を見つける」「ワイルドサイドを歩こう」「一語一句に手間ひまかける」が並んでいて、組織の文化醸成に大きな役割を果たしているとのことでした。

宮田さん曰く「日常的な声に出しやすさ」はかなり強く意識したとのことです。社員たちが日頃から口にしたくなるようなものじゃないとなかなか浸透しないだろう、だから言いやすさというか、語感のよさというか、そういった点に気を払ったと、そんなお話を聞かせてくれました。これは Emojibility にも通じるところがあるんじゃないかなあ、とぼくは感じました。

他の事例

社内のSlack文化に密かに感動している件について #メルカリな日々 2018/4/10 - mercan(メルカン) に掲載されているスクリーンショットを見ると、メルカリ社の Slack には「Go Bold」「Be Professional」「All for One」の Custom Emoji が存在することが伺えます。これはメルカリ社が掲げる 3 つのバリューですね。

やはり、価値観や文化を浸透させたいと思ったときに Emoji にして活用していくのは有効と言えそうです。

価値観を明文化して示す。その価値観を体現したような行動があったら Emoji Reactions で反応して「そう、それだよ!」とフィードバックを送る。それを見た他の人も「こういうことをやるといいんだな」と理解する。これを繰り返して、価値観を強化する正のフィードバックループをまわす。ということでしょう。

正方形画像にしやすさ

ちょいと Emojibility とは外れますが、似たお話として「正方形画像 (アイコン) にしやすさ」というのもありますね。これは Iconability とでも呼ぶとよいでしょうか。企業や製品の公式アカウントを Instagram や Twitter や Facebook に開設しようと思ったら、まず正方形画像を設定しなくちゃいけなくて、正方形画像にしたときにおさまりのよいロゴやアイコンがないとなかなか苦労します。横長のロゴをむりやりアイコンにすると、文字が小さくなって見えにくくなったりしますもんね。

これは コンテナ物語 を思い出させます。コンテナが国際標準化されたことで、一気に流通が加速したというお話です。

今となってはそうとも言い切れませんが、かつての Instagram も「正方形写真の流通を加速させた」と言えるかもしれません。写真を組み込むビューをつくったことがある人なら共感してもらえると思いますが、縦長の画像や横長の画像って扱いにくいんですよね。すべてが正方形である、という前提をおけるだけで、きれいな画面をつくりたい人にとってはずいぶんとありがたいことでしょう。

さいごに

自分がなんとなく口にした Emojibility という概念について書いてみました。現代においては、正方形アイコンを用意しやすい概念、製品、企業ほど有利になっているところがあると思います。

なにかしらの概念やコンセプトを組織内に浸透させたいというシーンでは「もっと Emojibility を高めた方がいいんじゃない?」といった会話が役に立つかもしれません。この記事が、みなさんの現場における Emojibility を考えるきっかけになれば幸いです。

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ぼくたち夫婦がチームマスタリーを獲得してきた話

2018-05-27

夫婦歴 3 年半

結婚したのが 2014 年 11 月 22 日なので、夫婦歴は約 3 年半というところ。そんなうちの夫婦ですが、最近は「おっ、チームマスタリーを感じるな〜」と思う場面が増えてきたので、このあたりの感覚を言語化して記録してみたいと思います。さらに 3 年くらい経つと、きっと今の感覚も思い出せなくなることでしょうから。

チームマスタリー

チームマスタリーというのは、そのチームがそのチームの問題をそのチーム自身の力で解決できる状態のこと。セルフマスタリーのチーム版ですね。セルフマスタリーを持った人たちだけで構成されたチームが必ずしもチームマスタリーを持っているわけではない、というのがチームのダイナミクスのおもしろいところだと思います。

つまりこのエントリの主旨は、最近のうちの夫婦は自分たちの問題を自分たちで解決できるようになってきたっぽいぞ、になります。

これを書こうと思ったきっかけ

最近になって「アイロンがけ、もっといい感じにしたいね」と夫婦で話して、そこからのやりとりがおもしろかったからです。

  • アイロンがけは週に 1〜2 回のペースで発生する家事であり、大なり小なり継続的なコストになっている
  • なぜ今になってこういう話になったか?
    • お洗濯は、乾燥機つき洗濯機を導入したことで劇的に楽になった
    • 他の家事も「もっといい感じにしたいね」と話しては改善する、というのを繰り返してやってきた
    • いろいろがいい感じになった結果、今はアイロンがけが気になることの上位に位置するようになった
  • 現状のアイロンがけの改善できそうなポイントはどこか?
    • アイロン台を出して設置して、アイロンをあっためて、かける、という煩雑な手続きがある
    • アイロンがけに適した場所がなくて、やや無理な姿勢での作業を強いられる
    • もしや、最新のアイロンを導入すれば劇的に楽になったりするのか?
  • そもそも、なぜアイロンがけが必要になるのか?
    • 人間が衣類を着用してはお洗濯し、衣類にシワが発生するから
    • シワにならない衣類だけを着用すれば解決する話なのか?

こんな感じのことを、夫婦でおしゃべりしながら考えて整理していったわけです。そうして、具体的な「じゃあ、これを試してみよう」を 2 つほど決めて、試運転しているのが今になります。

ここに至る道

ふりかえってみると、2017 年下半期の我が家のコンセプトを「QoL 向上」として高らかに宣言したのが効いたんじゃないかなあ、と思います。

この家主の宣言によってチームメンバー全員が「ここでは QoL 向上のために頭や口や手を動かすのはよいことである」という価値観がゆるく共有され、その結果、みんなが QoL 改善のために動くことができました。…と、ここでは簡単に言っていますが QoL を上げるのはそんなに簡単なことではなくて、

  • QoL 向上のチャンスを見つける
  • 見つけたチャンスを言語化してチームのみんなにわかるように伝える
  • 課題を整理し、解決のためのアクションの案を出す
  • 出てきたアクションの案たちを評価し、実施するものを決める
  • アクションを実施したあと、実際に QoL が向上したかどうかを計測し、副作用があればそれについても考察する
  • 無事に QoL が向上されていればみんなでワーイとよろこぶ

といったことを全員が日々の中でこなしていくことになります。けっこうむずかしいことをやっているとぼくは思います。けれど大事なことでもある。ぼくらはこれをある程度は上手にこなせて、家庭に改善のリズムが生まれたと感じています。なので先述のアイロンがけの件についても、お互いに前向きに話し合うことができたんじゃないか〜と考えています。

夫婦というチームで日々を運用する上でぼくが考えていること

昔より今の方が夫婦のやりとりの練度が上がっていて、ここらへんが大事なんじゃないかな〜とぼくが思っていることをいくつか書きます。内容は、夫婦じゃないチームについてもあてはまることばかりだとは思います。並べてみるとアンチパターン集みたいになったな… まあ、いっか。

我慢を美徳にしない

中には「よい我慢」「必要な我慢」もあるのかもしれませんが、うちの家庭においては基本的に「我慢をしない・させない」を方針としています。誰かが我慢をすれば済むんでしょ、といった類の問題についても安易にその道を選ばず、誰も我慢をしなくてよい別の道を探すことを考えます。

経験則として、我慢をしている人は自分と同じくらいの我慢を他者にも求めるようになりがちだと捉えているので、まず自分がそうはなりたくありませんし、奥さんにもそうなってほしくないと願っています。「ぼくはこんなにがんばっているのに!」って、ダサいから言いたくないんですよ。言われたくもないし。

ゼロサムゲームにしない

我慢のお話とだいぶ被りますかね…!ゼロサムゲームだと思ってしまったら、どっちかが得をしたらもう一方がその分だけ損をするという発想に陥ります。そんな前提を勝手に設定して判断の質を下げることは避けたいですね。全員で得をして、完全勝利しましょう。うちの夫婦の結婚生活はお互いにとって得がありまくりで最高だと思っています。優勝です。

平等をゴールにしない

「家事を平等にやる」みたいなのは、よくある話だと思います。

平等という概念はすばらしいものだと思いますが、ぼくの手には余るくらい高尚な概念だな〜とも思うので、ぼくは自分の活動指針に「平等である」を含めることを避けたがっていると思います。上手に扱うには強い気持ちが必要だろう、と。安易に口にできる言葉ではない。

たとえば遠方から 2 名を呼ぶとして、交通費や宿泊費を支給するとしましょう。ではこの 2 名に対する「平等に扱う」とはどういうった状態でしょうか。同じ額を支給することが平等なのか、あるいは、実際にかかる額だけを支給して自己負担額をゼロにすることを平等と呼ぶのか。あなたが守りたい平等はどういう状態?というのを考えてから平等を語らないと、途端に不安な状態に陥ってしまいます。

夫婦生活についてもそうで、同じ量の家事をこなすことが平等だとするのか、体力の差を考慮して体力のある方に多めに担当させるのか… などなどを考え始めるとそれを考えること自体が大きな仕事になってしまい、話がややこしくなります。

なのでぼくは「平等」よりも「納得」を重視して奥さんと会話しています。別に平等じゃなくても、みんなが納得していればそれでいいという雑な考えです。こうして考えてみると、平等はひとつの手段でしかないとも言えますね。事実、うちの夫婦の間には平等ではない約束事もいくつかありますが、それについて不満を抱えている人はいないのでまったく問題ありません。

まとめ

夫婦生活も 3 年半ほどが経ったところで、チームとしての夫婦のマスタリーを感じた瞬間があったので記念の意味も込めて記録を残してみました。少しふりかえってみて、マスタリーに至るまでの道や、マスタリーを支えているように思える考え方についても書きました。

世の中には、ぼくたち夫婦とまったく別のやり方や考え方でいい感じに運用されている夫婦もたくさんあるはずなので、ぜひいろんな事例を知りたいなぁと思います。よかったらみなさんも教えてください。

ひとまずぼくは、結婚 4 周年の日を楽しみにしながら日々をがんばっていきたいと思います。

今日書きたいことはそれくらいです。

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社内イベントでキャリアキーノートに挑戦しました

2018-04-22

社内でキャリアキーノートに挑戦する機会をいただき、2018 年 4 月 20 日 (金) にやりました。気合いが入っていたので TAMIYA の試合着を身にまとっていました。

キャリアキーノートについては、弊社おっくんによる素晴らしい説明キャリアキーノートとはなにかがあるのでぜひともこちらをご覧ください。ぼくも今回、まずはこの紹介記事と、先人たちのキャリアキーノート資料を繰り返し繰り返し読み直すところから準備を始めました。

ぼくがいただいた枠は 4 月入社の新入社員向けの研修コンテンツのうちのひとつ、という位置付けです。全部で 4 人分のキャリアキーノートが予定されており、ぼくはトップバッターでした。週明けから他の 3 人のキャリアキーノートも順番に観劇できるはずなので、自分の出番を終えたぼくは安らかな気持ちで他のみなさんの回を観に行こうと思っています。

いちおう Speaker Deck に置いて公開することにしましたが、キャリアキーノートの性質上、パブリックにできないコンテンツも少し含まれており、そこを加工した版を用意したところ謎のモザイクと黒塗りを帯びたいかがわしい資料が生み出されました…(?)

また、これは今回に限らずですが、ぼくは現場でのインタラクションに重きを置くので資料だけ見てもどんな話をしたのかよくわからないと思います。あしからず〜。

ふりかえり

無事に出番を終えたので、余韻が残っている間に今回の準備期間から出番終了までのふりかえりをやります。シンプルに KPT でいいか。

Keep

  • 自分がとても大事にしている価値観と再会できた
  • 前夜にしっかり練習したので、タイムキーピングはわりと上手くいった
    • 2 月にイベントでしゃべったときはタイムキーピング大失敗だったので、その反省は活かせた
  • 人生の直近 12 年分くらいは自分が書いた文章と自分が撮った写真のアーカイブがあるので、いろいろと思い出したり事実確認したりするのが捗る
  • そろそろ自分とひとまわり歳が離れている世代が入社してくる (もう入社してきた?) ので、あらためて自分の世代が生きてきた世界のことを整理して話せる機会があるのはうれしい
    • 弊社の最年少の世代だと、レンタルサーバを借りたことがなかったり、Web 2.0 という言葉を知らなかったりするので、ぼくの体験のコアにあるものは説明なしでは伝わらないのだ (だからこそこうしてちゃんと語ることに意義がある)
  • 研修の対象者である新入社員たちだけじゃなく、社内のいろんな人が聞きにきてくれてありがたかった
  • 盛り上がってほしいところで盛り上がってもらえたので、少なくとも空振りはしていなさそう

Problem

  • 前日はぜんぜん眠れないし、当日は体調がよろしくない状態からスタートするし、全力で臨む以上は仕方ないのかなあ
  • せっかく後輩たちとランチに行ったのに、出番がゴゴイチだったので気持ちが落ち着かず「ごめん、ちょっと早いけど先に戻ります!」となった

Try

  • 切り口を変えれば、ぜんぜん別の形で自分の人生を語ることもできそうだな〜と準備の途中で思った
  • また 2〜3 年後くらいにキャリアキーノートに挑戦する機会があると、今回からの差分を確認できていいかもしれない
  • 自分はたくさんお話させてもらったので、今度は社内外のいろんな人間たちの個人史を聞きたいぞ!
  • だおんをなんとかする

まとめ

キャリアキーノートの機会をいただき、しゃべってきました。とてもありがたい機会でした。このような取り組みを広めてくれたおっくんが社内にいるというのも福利厚生だなぁと思います。おっくん、ありがとう。おっくんの前でキャリアキーノートをやるのはなかなか緊張しました。

同年代の阿部さんにはナニカが伝わったようで、この日の夜にも話しかけてもらえて最高でした。おじさん相手にはそれなりにナニカを伝えられる手応えはあります。次の時代を担う若い後輩たちにも、なにかひとつでも伝わっていたらいいなあ。

決して低コストな取り組みではないと思いますが、個人的にとても好きな試みであり、弊社以外の多くの現場にも広がっていったらいいなぁと思います。興味を持った人がいたら、ぜひやってみてください!

再掲 : キャリアキーノートとはなにか | blog: takahiro okumura

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今日のメガネさん

2018-04-22

先日、久しぶりにメガネを新調しました。

この新しいメガネは、ぼくの人生の中で何番目のメガネになるだろうか。小学校高学年くらいから視力が落ちてきて、中学校 2 年生のときにはうしろの席からは黒板の文字が読めなくなっていたはず。一時期、先生が黒板に何を書いているかわからなかったので、しゃべっている内容と教科書をたよりにして雰囲気で授業を受けていたっけなあ。

それでたしか中学校 3 年生のときに親にメガネを買ってもらって、それがマイ・ファースト・メガネ。16〜21 歳くらいの多感な時期はコンタクトレンズをつけて過ごすことが多く、メガネの記憶がぜんぜんありません。その後 22 歳くらいからメガネ頻度が上がり、最近は目が覚めている間はほとんどの時間をメガネとともに過ごしています。

こうして水中メガネをつけて記憶の海を泳いでみると、おそらくこれまでに 7〜8 本のメガネを買ってきたことになりそうです。

メガネを新調したこのタイミングで、手元にある先代メガネたちのレンズもすべて入れ替えて、現役メガネを複数本運用することにしました。

毎日のメガネ選び

約 2 年前に書いたシャンプー選びの続編のような。

毎朝、Slackbot にその日に着用するメガネを選んでもらうことにしました。朝、どのメガネをかけたいかについてそんなに強固な意思はないので、適当にランダムに選ぶので充分です。ぼくはその日に着る服は当日の朝に決めるので、メガネに合わせて服を選ぶのもよさそうですね。

日々の中に適度にランダムネスを取り入れて、毎日を新鮮な気持ちで過ごせるといいなぁと思います。

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「Hi-Ether Meetup - Block #2」に参加してきました

2018-04-16

今回も参加してきました!これまでのレポートは下記です。

Block #0 と Block #1 は TECH PLAY SHIBUYA さんでの開催でしたが、今回は DMM.com ラボさんでの開催となりました。素晴らしい会場を借りることができて最高でした。感謝。

[発表1] Plasma-mvp で学ぶ Plasma

ひとつめは Gunosy の @y_matsuwitter さんの発表。内容がおもしろいのはもちろんですが、iPad を使った発表スタイルにも会場が沸いていましたね〜!資料にペンで線を引いたりしながらの発表、とってもよかったのですぐ真似したいと思いました。

ぼくも Plasma のことはちゃんと理解できていないので、こちらの資料と omisego/plasma-mvp をもとにあらためて学習したい!という気持ちになりました。やっていくぞ。

[発表2] Loom Network DAppChains の詳細

続いて CryptoZombies で有名な Loom Network@crypto_mamitake さんの発表です。

Hi-Ether の Slack を見ていると CryptoZombies にお世話になっている人はたくさんいるみたいですね。その中の人の発表ということで会場も盛り上がりました。

(下記は iCloud へのリンクになっています)

Loom Network が提供する (あるいは提供予定の) 様々なサービス、プラットフォーム、SDK などを網羅的にご紹介いただきました。なんだかんだ言っても、こうして日本語で紹介してもらえるとわれわれ日本人は助かりますね!

ちょうど Meetup のあった日に、Loom Network が Dapp チェーンに Plasma を採用すると公表しました。本発表中にもそのことが紹介され、会場からは拍手が起こっていたのが印象的でした。

[LT1] Ethereum のモバイルウォレットについて

LT の 1 本目は @yuzushioh さん。ご自身が開発されている yuzushioh/EthereumKit の紹介でした。

[LT2] Developer が陥りやすい3つの罠

LT の 2 本目は福岡からいらしていた @nakajo さん。Hi-Ether の Slack で人間たちのお悩みを最も解決してきたであろう人物なので、なんというか「俺たちのナカジョー」といった雰囲気で歓迎されていました。

[LT3] Dapps 向けの便利なライブラリを使ってみた

LT の 3 本目は @biga816 さん。自己紹介スライドに免許証の画像が貼ってあり、住所までわかってしまいました。

なんと、今回は動画もある!

@kazush-m さんが「撮影して録画したい」と申し出てくれて、まるっとやってくれました。とてもありがたいですね〜!!!

まとめ

今回もおもしろトークをたくさん聞けて、いろんな人たちとワイワイできて最高でした。

開催準備中に @amachino さんに「誰か、発表を聞いてみたいって人はいますか?」と聞かれて「ナカジョーさん!」と即答していたので、今回お会いできてとてもうれしかったです…福岡の方だったんですねぇ。ぼくが福岡に行くときにも連絡します!これまで「正体不明のなんかすごい人」という認識だったので、実在を確認できてよかったな〜。

ご縁があって Block #0 のときから運営に関わらせてもらっていて。今回は「手伝います!」と手をあげてくれる人がこれまでよりも増えて、コミュニティ運営も本格化してきました。せっかく Ethereum のコミュニティなので、懇親会費を JPY で支払ってもらってぼくが紙袋に入れてアナログに管理しているのも、そろそろやめていきたいところ。

今後も引き続きオンラインの Slack とオフラインの Meetup を盛り上げながら、コミュニティ運営自体をもっとおもしろい感じにしていくぞ!

次回は 2018 年 5 月 17 日 (木) に開催予定です。興味のある方はEthereum 開発者向けコミュニティを作ったよからどうぞ〜!

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書籍「ティール組織」を読んで、自分の価値観を見つめ直してみた

2018-04-05

ティール組織」を 2018 年 2 月 9 日に購入して、まるまる 1 ヶ月間くらいをかけて読みました。かなりボリューミィで相当なエネルギーが必要でしたが、ぞくぞくする内容も多くて最後まで楽しく読めちゃいました。

最近のぼくは物理的所有物を増やしたくないので書籍は基本的にすべて Kindle で読んでいて、文中の気に入ったフレーズや覚えておきたい内容は「ハイライト」をつけながら読み進めていきます。それで、読み終わったあとには https://read.amazon.co.jp/kp/notebook にアクセスしてハイライトを一通り眺めてあらためて書籍の全容を俯瞰し、ここ june29.jp に読書感想文を書いて投稿したりするわけです。このティール組織も同じようにしていたのですが、なんとハイライトが 331 箇所にも及んでしまい、ハイライトだけでちょっとした書籍 1 冊分くらいの量になってしまいました。そんなわけで、咀嚼するのにも時間がかかり、読了後 1 ヶ月ほどを経ての感想文の投稿になります。

ただの内容紹介であれば他のウェブページに任せるのでよいだろうと思い、自分の価値観や考えと絡めた形での感想文を書くことにしました。

ティール組織って、なに?

まず、後半部を読むための前提知識になるような概要はいくらか書いておきます。

  • これまで多くの学者 (心理学者、哲学者、人類学者などなど) たちが、人の意識の発達段階を分析してきた
  • 人類はおよそ 10 万年の歴史の中でいくつかの連続的な段階を経験し、各段階で、まわりの世界に対処する能力は知的にも倫理的にも心理的にも飛躍的に伸びた
  • 個人の意識の発達段階にあわせて、組織モデルもまた発達してきた
  • 発達心理学は人類の意識の次の段階について言及していて、そうすると「次の組織モデル」が見えてくる
  • 著者は「次の組織モデルなんて本当にあるの?」と興味を持ち、12 の組織について調べまくった

お察しの通り、調査の対象となった 12 の組織がこの書籍でいうティール組織であり、組織のタイプや規模は違えど共通する特徴があったのです。紹介される組織には営利企業も非営利組織もあり、小売り、メーカー、エネルギー、食品、教育、医療と分野もさまざま。にも関わらず共通する特徴が見つかったというのがおもしろポイントです。

ちなみに「ティール」は色の名前です。色は百聞より一見でしょうから、対応する「人の意識の発達段階」とともに説明された色付きの図を載せておきます。説明文はすべて書籍からの引用です。

ティールは「青緑」っぽい色なんですね。日本人にとってはピンときづらいと思います。

書籍の内容はどんな感じ?

先の図には無色を入れて 7 色が登場するのですが、書籍の中でたくさん語られるのは「順応型 (アンバー)」「達成型 (オレンジ)」「進化型 (ティール)」の 3 つです。アンバーより前のパラダイムになると現代ではあまり見かけない組織タイプなので言及しづらいのと、ティールを語る上では比較対象としてアンバーとオレンジがわかりやすいのでしょう。

なので、全容をざっくりと理解するにはアンバー・オレンジ・ティールの特徴を押さえるのがてっとり早いと思います。この感想文においてもこの 3 つについて触れていきます。

順応型 (アンバー) について

発達心理学者によると、現代の先進国における成人の大半がアンバーのパラダイムに従って行動しているそうです。

この段階では、現実はニュートン的な観点で認識されている。因果関係という概念は理解されており、人々は過去から現在、未来へと続く線形的な時間の流れを把握し、将来に向けた計画を立てることができる。こうした土台があると農業が発展可能となる。植物を育てるには、今年の収穫物から種子を取って来年に備えるという、自己規律と将来を展望する力が必要だからだ。

アンバーのひとつ前の「衝動型 (レッド)」を省略しちゃっているからアレなんですけど、レッドだと「これが欲しい、だから殴って奪う」という感じで、長い目で見てどうとか将来の計画とか、そういうのがないのですね。だからアンバーに到達して計画を立てられるようになって農業ができるようになった、というのが大きなポイントです。

「わたしたち」という意識を持てるのもアンバーからです。レッドで「自己中心的」だった意識はアンバーで「自民族中心的」になります。本格的な集団というものが出現し、その集団の秩序を守るには「規則や規律が大事」とされます。これが官僚制度や階層社会を生みました。歴史的に見ると、アンバー組織が「ピラミッド」や「万里の長城」の建造という成果を残しています。

現代においてアンバーで運営される組織は、大半の政府機関、公立学校、宗教団体、軍隊などです。

達成型 (オレンジ) について

アンバーが世界を「静的なもの」と捉えがちなのに対し、オレンジは「動的なもの」と捉えます。

達成型の視点では、世界は新たな顔を見せる。世界は不変のルールによって支配される固定的な存在ではなく、複雑なゼンマイ仕掛けのようにとらえられる。もちろん、その中の仕組みは調査すれば理解できるのだが。「正しい」「間違っている」という絶対的な答えはなく、「これは他のものよりもうまく作用する」という相対的な世界観である。意思決定の基準が倫理から有効性に変わる。世界がどのように動いているかを理解すればするほど、多くのことを達成できる。最善の判断とは、最大の結果をもたらす判断のことだ。人生の目標は、前に進むこと、社会に受け入れられる方法で成功すること、自分に与えられたカードで最後まで全力を尽くすことになる。

オレンジのパラダイムを獲得すると、人間は既存の枠組みや規則を疑う視点を得られるようになります。

達成型の認識は、科学的な研究、イノベーション、起業家精神への水門を開いた。わずか二世紀という、人類全体の歴史から見ればほんの瞬きするほどの間に、達成型組織は私たちに未曾有の繁栄をもたらした。平均寿命は数十年伸び、先進諸国では飢饉や疫病はなくなり、さらには開発途上国でも急激なペースで同じような進歩が実現している。

これはぼくの予想ですけれど、ここ june29.jp を読みにきてくれる物好きな読者のみなさんは、オレンジのパラダイムに共感する人が多いのではないでしょうか。現代のいわゆるグローバル企業と呼ばれるような組織は本書の整理によればオレンジ組織に分類されます。

衝動型が自己中心的で、順応型が自分の属している組織を中心とする視点だとするなら、達成型では世界を中心に物事を考える可能性が生まれたのだ。

歴史的には「イノベーション」「説明責任」「実力主義」などの概念を生んだのがオレンジのパラダイムです。

進化型 (ティール) について

ティール組織を簡潔に説明するのはむずかしいですね… 調査対象となった 12 の組織には以下に示す 3 つの慣行が備わっていたとのことなので、これを見て雰囲気を感じてほしいです。

  • 自主経営 (セルフ・マネジメント)
    • 各自、各チームが自律的に動く。
    • 組織図がないので、トップダウンという概念がそもそも成立し得ない。
  • 全体性 (ホールネス)
    • 属するひとりひとりが本当の意味で「自分」でいられることを目指す。
    • メンバーに肩書きはなく、個性を活かしながらそのときそのときにベストと思えることをやる。
  • 存在目的
    • 「われわれの組織は、なんのために存在するのか?」を中心に据え、日々の意思決定もそれを反映したものとする。
    • 存在目的にそぐわないことはやらない。

「自己組織化」というフレーズでピンとくる人には理解しやすいかな〜。

達成型パラダイムは組織を「機械」にたとえ、多元型パラダイムは「家族」という比喩を使う。

(中略)

進化型組織のリーダーたちは、理想の職場のあり方として、家族とは別の比喩を使う。実は彼らの多くが、自分の組織を「生命体」や「生物」ととらえている。生命は、進化に向けてあらゆる知恵を働かせながら、底知れぬ美しい生態系を維持している。生態系は、全体性、複雑性、そして高い意識に向けて常に進化し続けている。自然は、自己組織化に向かうあらゆる細胞とあらゆる有機体の欲求につき動かされて、常にどこかで変化している。そこには、命令を出したりレバーを引いたりする中央からの指揮も統制もない。

組織をまるでひとつの生命体であるかのようにみなして運営する、という感じですね。

じゃあ、ぼくのパラダイムは?

がんばって自分をなるべく客観的に見るつもりで考えてみて、ぼくの思考のパラダイムは「アンバー : オレンジ : ティール」の比でいうと「1 : 7 : 2」くらいかな、と感じます。ベンチャーやスタートアップでのお仕事を経て、成人して以降の多くの期間をオレンジの傾向が強い組織で過ごしてきたので、思考のパターンもオレンジに強い影響を受けているように思います。

本書を読んでみて「あのときのチームの動きはティールっぽかったな」と思い出すものはいくつもあったので、ティール成分もいくらかありそうです。

ぼくの人生におけるアンバーは、間違いなく「学校」ですね。規則や規律が重視され、まわりのみんなと同じであることが求められていたなあ。たぶんぼくはアンバー組織の慣行があまり肌に合わなくて、だから、働くようになってからの人生の方が楽しくて楽に感じるのでしょう。

本書を読んでの気付き

人間の意識の発達段階と組織モデルの段階をひもづけて考える発想に「なるほど」を得ました。

いちばん「はーん、ははーん」と唸ったのはアンバー組織についての説明を読んだときでした。というのも、ぼくは「職場で私物のスマートフォンを充電するのはアリ?」という質問に「そんなのダメに決まっているでしょ」と即答できる人の気持ちや、「仕事中、喫煙者だけ休憩できてズルい!」と叫ぶ人の気持ちが、本気でわからなかったんですよ。ぜんぜん合理的じゃないじゃん、と思って不思議に感じてしまうばかりだったのですね。

アンバーのパラダイムに従って暮らしている人は「規則や規律こそが組織を守る、だから私たちは規則や規律を守ることがとっても大事なのだ」という価値観を持っているので、その価値観においては「みんなで幸せになるために規則を守る」のは理にかなっているのです。そこは否定されるべきものではないのだな、と納得しました。

オレンジについて語られている文章を読んでいる間は「あー、自分はこういう発想するわ」と思うことが多かったです。それらの考え方について、自分なりに「こういう理由で、これがいい」と選択してきたつもりではありますが、それがすべてではない、その先の考え方もあるんだぞ、ということがよくわかりました。

ティールを実践している組織については、とにかく興味を持ちました。自分がオレンジの発想にとらわれていては、次のステージに向かえないのかもしれないな〜という危機感も覚えました。「組織のパラダイムは、トップに立つもののパラダイムをこえられない」との話もあって、これには少なからずヒヤッとする感覚も覚えました。ぼくが組織やチームを任されるとしたら、ぼくの限界がそこの人たちの天井にもなってしまうのだ、と。

それで、ティールっぽく会社を運営しているように見えた @miyasho88 さんに会いに行ってお話を聞かせてもらったりもしてきました。

ぼくがティールに魅力を感じられた背景

ティールの慣行にある「組織図を持たない」「数値目標を設定しない」なんかは、アンバー組織やオレンジ組織の運営でやっていることの逆をいく面があります。ともすれば「えっ」となりそうです。ぼくも「マジかよ」と感じた箇所はいくつもありました。それでも、魅力を感じられたのは──。

ひとつには、組織図や数値目標の弊害を何度も目の当たりにしてきたからでしょう。それらが役に立つことはじゅうぶんに理解しているつもりでも、同時に、万能ではないことも知っています。それらナシでもうまくいくというなら、試してみたい気持ちはおおいにあります。

「オープン戦略」や「フリーミアム戦略」と言った、それまでの常識の真逆をいくような戦略が大きな成果をあげているのを見てきたから、というのもありそうです。今のぼくが「なんでもかんでも隠すよりオープンにした方がかっこいいし、得じゃん」「無料プランを用意して、とにかく使ってもらうのが大事じゃん」と自然と発想するように、ティールの慣行を当たり前に受け入れる数年後があってもおかしくはありません。

あとはそうですね、アジャイルソフトウェア開発で重視されるような価値観と再会したような気分になったとも言えます。

最近の話題では「The DAO (Decentralized Autonomous Organization)」もぼくの中ではリンクしました。オープンソースソフトウェアを盛んに活用する組織がオープンであろうとするように、これから躍進してくるであろうブロックチェーン技術をバリバリに活用する組織は「非中央集権的」であろうとするはずなんですね。ぼくが参加している Ethereum の技術者コミュニティ Hi-Ether の人たちはしきりに「Decentralize だ!」と言います。なぜなら、非中央集権システムに可能性を感じているからです。こういった価値観を強くもった組織が増えてくると、その運営様式は自然とティールっぽくなっていくんじゃないかな、という未来予想があります。

まとめ

書籍「ティール組織」を楽しく読みました。かなり文量の多い本で内容を咀嚼するにも時間がかかってしまいましたが、ようやく感想文を書けました。

本書は、組織のあり方や個人のあり方について、多くの視点を与えてくれます。ぼくも、世の中の組織や人々を新たな観点をもって観察し直してみると、これまでとは違う見え方になりました。そして、自分が今後どのような価値観とともに生きていきたいのか、どんな文化の組織に身を置いていきたいのか、自分が属する組織をどんなふうにしていきたいのか、考えるきっかけをもらいました。

人間の意識レベルや組織の発達段階に興味のある人にとっては、とても刺激的で示唆に富む書籍だと思います。長いので読むのは大変でしょうが、興味のある方はぜひ!

本書を読んだことをきっかけに考えたこともたくさんあるので、また別記事にして少しずつ書いていきたいと思います。

おもしろかったら、いいジャンしてね。

おもしろかったら、いいジャン!してね

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