#june29jp

今年,最も面白かったソーシャルアプリはFlickrだ

2008-12-16

2008年も残すところあと半月といったところで,書き溜めていた振り返りエントリを小出しにしますよ.

11月にこんなタイトルを思い付いて,ちょっと胡散臭くて面白いなぁって自分で思った.でも確かに,今更だけど Flickr を楽しめた1年だったと思う.しまださんが泊まりに来てくれた夜も「Flickr 楽しいねー」って話が出て,ボクの想いは確固たるものとなった.

改めて言おう.今年,最も面白かったソーシャルアプリは Flickr だ.

2008/12/10 08:53:57

ボクから見える Flickr を面白くしてくれているのは,もちろん Contact の皆さんだ.例えばボクは mio-spr さんの写真が大好きで,Flickr のホームに訪れて新着写真を見つける度に心が躍る.最近はカメラ好きのお友達もずいぶんと増えて,毎日毎日チェックしては,ステキな写真に出会い,Fav の小さな星を付ける.これが楽しい.

そしてまた,自分が撮った写真も以前に増してたくさんアップロードするようになった.これは壊れていたレンズを直したから,とか,Flickr 自体とは関係のない要因もあるのだけれど,とにかくボクは Flickr に写真をアップするのが楽しくなった.

テキスト検索とイメージ検索

ではなぜ,2008年になって,Flickr の面白さが加速したのだろうか.この話の背景には,面白いコンテンツにたどりつくための手段である検索エンジンがある.

ここで,個人を表現する場所として,ブログと Flickr の比較を試みる.ブログのメインコンテンツは,テキストと言えるだろう.一方,Flickr のメインコンテンツは写真だ.両者の最大の違いは,検索によるランダムアクセスが発生する頻度であろう.

ある単一のトピックについてテキスト検索を繰り返していると,みんなが必ず辿り着くような定番的サイトに行き着く.「○○の話題を追いかけるなら,このブログを読んでおこう」といった流れが生まれる.しかし,タイトルもカメラが付与したもので,タグも振られていないような写真には,ランダムアクセスがほとんど発生していないのが現状だ.それがどれだけ素晴らしい写真であっても,だ.テキスト以外の CGM の世界は,まだまだ検索エンジンが整理し切れていない未開の土地なんだ.

じゃあ,ボクはどうやってステキな写真に,その写真を撮る人たちに出会えたのか.…考えてみると,Twitter の存在が大きい.これに気付くまでに数ヶ月を要した.Twitter は,とにかくたくさんの人と触れ合う機会を与えてくれた.量的変化は質的変化となり,ボクの元に届けられたのは,ステキな写真を撮る人たちとの出会いだった.だからきっと,みんなにとっては,写真じゃなくて音楽に関するものかもしれないし,もしくはまったく別の何かが見つかったりしたんじゃないかな.

さらに言えば,真にユーザ生成型コンテンツの面白さを感じられるのは,そのユーザのことを身近に感じられるようになったときである.同じような景色を切り抜いた写真でも,まったくの他人が撮った写真と,仲の良い友人が撮った写真を比べれば,後者の方が面白いことが多い.「あいつはどんな想いでこれを撮ったんだろう」などと思慮を巡らせて楽しむことができる.「あいつらしいなぁ」なんて笑ってしまうこともある.ステキな写真にポツリと,その人らしい一言が添えてあったりしたときには,この身が震えるほどに感動を覚えることがあるよ.

検索エンジンの代わりに,ソーシャル Web のコミュニケーションプラットフォームである Twitter が,写真というコンテンツへのトラフィックを生んだ.こうして,ボクにとっての Flickr は大変に面白いものになった.この変化は,検索エンジンによって様々なサイトが活性化していった Web の進化に似ているだろう.

マイクロブログがソーシャルアプリを補完する

DeliciousLast.fmTumblr,そして今回の主題である Flickr などなど,これまで何度も言及してきたソーシャルアプリ群.熾烈な「時間の奪い合い」が繰り広げられる中,今日を生き残っているものたち.そのすべてにソーシャルなコミュニケーションの要素はあるが,どれもコンテンツが中心にあり,人同士をつなぐ機能や特徴は,Twitter に代表されるマイクロブログに比べて弱いと言わざるを得ない.

きっとそれでいいんだ.正常な役割分担が進んでいるように思える.「日記を書けます,写真もアップできます,音楽の趣味も共有できます」すべてが洗練されていれば素晴らしいけれど,機能が増えてゴテゴテしてしまったアプリに愛着が沸かないことをボクは経験的に知っている.むしろ何かひとつに特化して,そこに関しては他の追随を許さないスピードで進化していくアプリは使っていてワクワクするし気持ちがいいものだ.

ここ最近の盛り上がった Web アプリを見てみても,料理に特化していたり,イラストに特化していたり,英語の学習に特化していたりと,ターゲットが明確なものが多い.これからますます,この風潮は強くなって棲み分けが進むとボクは予想している.「日本人の何割が使っています」なんて謳い文句は,段々と意味を失うんじゃないだろうか.

コミュニケーション層はもう任せてしまってもいいんじゃないかなー.ユーザのコミュニケーション時間を奪う争いはもはや不毛だ.そうじゃなくて,もっともっと,それが好きな人にとって最高な場所が増える方向に,楽しくなっていってほしいと思う.

Open Social も SocialGraph も,大枠の概念には共感できるものの,いまだにボクのブラウジング体験に一切の変化をもたらしていない.そうこうしている間にも,Twitter や Tumblr はボクらをどんどん楽しい場所に連れて行ってくれている.さぁこれからどうなる.2009年も楽しみです.

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