「アトリエ」という空間に、強い憧れがあって。そこに行けば、いつだって誰かがいて、絵を描いていたり、木を彫っていたり、土をいじっていたりするような、創造の空間。アプリケーションエンジニアにとっての「アトリエ」みたいな場所が、あったらいいなあ。
ガローア会議01
2011年4月16日(土)に「ガローア会議01」というものを開催しました。
15日、@noize_hioki くんは Agile Japan のレポーターを務めるために東京にくる予定がありました。「宿泊先はどうするの」と聞くと「ガローアに泊まります!」と言いました。同じ頃、@RooandQoo ちゃんからは「Ruby でものづくりしたい!」と連絡がありました。
お話をしていて、ふたりの前のめりなテンションに共通する良さを感じたので、この良さを膨らませたいと思って、ガローア会議01に臨みました。開催までの1週間は、ごはんを食べているときや、自転車を走らせているとき、シャワーを浴びているときに、どうやって過ごしたら楽しいだろうかって、考えていました。
ところで、おふたりの感想エントリがよく書けている!自分の言葉で書けるのはいいことですね。
招待講演「わたしとVim」
当日、たまたま @kana1 ちゃんが近くにいるってことが分かったので、挨拶がてらモンスターボールを投げてみたら、見事に捕まえることができました。そのまま連れ去って「いけ!かなちゃん!招待講演だ!」とけしかけて「わたしとVim」という題でお話してもらいました。
とても、よかった。無茶振りにも関わらず応じてくれてどうもありがとう!
勝手なイメージでアレなのですが、@kana1 ちゃんは思い切りソースコード寄りの人だと思っていまして。でも、じっくりとお話を聞いていると、それだけじゃないってことが分かりました。
若いおふたりに「達人プログラマは、なるべく早くに読んだ方がいいよ」と勧めていたり、他にも「リファクタリング・ウェットウェア」に書かれているエピソードを紹介してくれたりと、プログラムを書く技術だけではなく、プログラマとしての心構えのお話や、プロセスのお話にも意識が向いているのでした。
今回のガローア会議01の進め方や時間の過ごし方についても、色んな意見を出してくれて、心強かったです。たまたまだけど、@kana1 ちゃんがいてくれてよかったなあ!
一口に「プログラマ」とか「ソフトウェア・エンジニア」と言ってみても、実に色んな種類の人がいて、それぞれに興味範囲が違っていたりして、面と向かってゆっくりお話してみると、気付きが多くて面白い。@kana1 ちゃん、またお話しましょう。楽しい!
Hackathon
ガローア会議01は、@noize_hioki くんと@RooandQoo ちゃんが手を動かす場にしたかった。おふたりもそれを望んでいたし、自分も同じ気持ちでいました。自分がお話をして終わる場にはしたくなかったので、Hackathon の形式で進めてみることにしました。部分部分では Workshop っぽい形式になったところもあるのですが、目指したのは Hackathon で、もし「ガローア会議02」があるとしたら、もっともっと Hackathon っぽくしていきたい。
おふたりが発していた「前のめり感」を大事にしたかった。
「前のめり感」について、@RooandQoo ちゃんとペアプロしているときに「これだ!」という感覚があったので、ちょぴっと紹介します。
@RooandQoo ちゃんは、Twitter クライアント的なものをつくっていました。使用ライブラリの選定からはじめて、ちょっと面倒な Twitter のアプリケーション登録と OAuth の認証を突破し、home のタイムラインを取得するところまで順調に進みました。コンソールに「Tweet の内容をだばだばと表示する」ところまでできたのです。
これを見て自分は「じゃあ、次は○○を…」と言いかけて飲み込みました。ふうっと落ち着いて、@RooandQoo ちゃんに「次は、どうしよっか」と聞いてみると「誰の Tweet か分かるようにしたいです!」と返ってきて、安心して「そうだね、やってみよう!」と返しました。
何もないところからモチベーションやアイディアやアクションを捻出するのは、少なくとも自分にとってはなかなかむつかしいことで、いかにして「簡単に」行動を起こせる状態を維持するか、を考えるのはとても重要です。死活問題です。
あるところまで動くものができたら、そこから先は迷わず進めるってポイントが必ずあって、今回の @RooandQoo ちゃんの状態は、まさにそれでした。「次はこういうコードを書きたくて仕方ない」状態でしたね。書くなって言われたって書きたい状態なんですよ。こういった状態を上手に維持していければ、日常的にものづくりを続けていける。
意識して手札を増やしましょう。手札に「頭」「右腕」「右脚」「左脚」が揃っていれば「左腕」のカードを見たときにピンとくるはずです。それらが組み合わさった状態を「簡単に」イメージできるはずです。エクゾードフレイム・テクニック。
例では @RooandQoo ちゃんについてお話しましたが、@noize_hioki くんにも、同じような状況があったと感じています。
目指したのは、誰かの発表を聞いてまるっと満たされて帰っていく集まりじゃない。自分で手を動かして、時間も限られているし、あるところまでは行くんだけど、やり残したことはいっぱいあって、満たされなくて、そわそわして、日常に戻ってからも続きの作業をしたくなるような、そんな集まりを目指して、Hackathon の形式を取り入れました。
これから
おふたりは、ずいぶんと楽しんで時間を過ごしていたみたいですね。感想エントリを読んで嬉しくなりました。それと、@kana1 ちゃんも何かを持ち帰っていたみたいで、この日の夜には Ruby で Web アプリケーションをつくりはじめていたのが、とても嬉しかったです。良いものを交換できたんだなあ。交換重要。「わしの (ほとんど説明のない) デモを一度見ただけで、同じものを再現しおった…!」
@noize_hioki くんと @RooandQoo ちゃんからは「定期開催を!」という声も挙がっていたのですが、考えた末、今は定期にはしないことにしました。今回は、初回ということもあって、前のめりなエネルギーがたっぷりあって、それで、密度の濃い時間を過ごすことができたと思います。「じゃあ1ヶ月後に」と決めて集まって、そのときに元気のない時間を過ごしてしまったらとても残念なので、それはお断りです。また前のめりに「ここまで進んだので自慢したいです!」とか「次はこういうことに挑戦したいです!」となったら、そのときはエネルギーを持ち寄りましょう。君たちには、それができるのだから。
そういや、@noize_hioki くんがガローアに忘れ物をしていって…
スリッパを忘れてしまったので、お話のネタを集めて、じゅーんさんの迷惑でなければ是非もう一度お邪魔したいです!!
ガローア会議01に行ってきた – Hioki’s Weblog
ペロッ… これは「わざと忘れ物をして次に遊びに行く口実をつくる」小悪魔テクニック…!とかいう。
まとめ
「アトリエ」という空間に、強い憧れがあって。
そのために「創る人」を増やしたいんですよ。自分のまわりに創る人がどんどん増えれば、そこが中心になってアトリエが醸成されていくんじゃないかな、って。だから、今回みたいな、手を動かすことに焦点を当てる集まりは、今後も試していきたいです。
ガローア会議01、とっても楽しかったー!また楽しいことをしよう!