ご献本いただきまして、一気に読みました!ありがとうございます!
たのしい開発 スタートアップRuby 大場 寧子 大場 光一郎 五十嵐 邦明 櫻井 達生 技術評論社 2012-07-31 by G-Tools |
手段としてのRuby
いわゆる「Ruby」の本であれば、最初のトピックは「Ruby」になることが定石のように思います。一方で本書は「たのしい開発」をトピックとした第1章からはじまっています。とても特徴的ですね。大胆な方針だと思います。そして、その「たのしい開発」にたどりつくために筆者が通った道が「Ruby」であったと…!
筆者の「ソフトウェア開発」「プログラミング」にまつわる「Before」と「After」の対比から、After である「たのしい現状」のよさの本質とはなんなのか?をあとからふりかえって、ひとつずつ整理していった感じでしょうか。
「筆者の主観」から受け取るもの
もしそこに「客観的な事柄」だけが書かれていたなら、読者が得るものは「知識」となるでしょう。この本には「筆者の主観」が溢れていて、それがとてもおもしろかったです。「筆者の主観」を読んで読者が受け取るものは「あなたはどう思う?」という問いになるのだなぁ、と。
ぼくは、特に第1章、第6章、第11章を読んでいるときに、筆者からお話を聞かせてもらっているような感覚を覚えました。それも、一方的に聞かされているというよりは「ぼくはこうだったんだけど、君はどう?」と、ゆっくりと会話を楽しんでいるような感覚です。
だからこそ、だからこそ、なのですが!ひとつひとつ登場する「筆者」って、具体的には誰なんだろうなあって、著者が複数人いる本書に対しては思ってしまいました。そこは、正直なところ、少し読みにくかったです。「ここの筆者と、さっきの筆者は、同じ人?別の人?」と気になってしまうことは何度かあって、本書のように「主観」を重要視する内容の場合には、筆者が誰であるかというのは、読み進めていく上で、けっこう重要な要素になると思うのです。この点に引っかかりを感じなければ、より楽しく本書と接することができたように思います。もしかしたら、ぼくが著者のみなさんを知りすぎていることが原因かもしれないので、ニュートラルな状態でこの本に触れた読者の方がどう感じるのだろうなぁ、と、興味があります。
そういった「勘繰りながら読んでしまう」傾向はあったものの、とても勢いよく楽しく読み進めることのできる本でした。そうして、1冊を読み終えてみて、ぼくは。「どうして今ぼくは積極的に Ruby を選択しているのだろうなあ」と、筆者の(筆者たちの)主観から受け取った問いと向き合っているのでした。
万葉を支える技術
書籍 #万葉を支える技術 の感想を持ち寄っています w/ @kei_s
— ɐpɐʍɥo unɾ (逆本人確認済) (@june29) July 28, 2012
この本を読み終えた直後に @kei_s と会ってお話する機会がありました。ちょうどよかったので、本書についての感想を投げ付け合ったりして遊びました。そこで飛び出したのが「万葉を支える技術」というフレーズです。本書の中で「Ruby のコミュニティでは、こういったことを大切にしている」といった調子で書かれているものは、そのまま、著者の皆さんが関わっている「万葉という場所でも、同じように大切にしている」と読めました。少なくともぼくは、そのように読みました。本書を読んで「わあ!なんだか楽しそうだなあ!」と感じた人は、きっと万葉というカルチャーが肌に合うのだろうなあ。リトマス試験紙としてはたらく気がします。
…と、ぼくは万葉という会社のなにを知っているわけでもないのであんまり偉そうに言うのは気が引けるのですが!こんなふうに、とある会社が「外からはこう見える」と思っちゃうくらいにオープンになっていて、そこの中の人たちについて外の人たちがアーダコーダと言って楽しめてしまうこと自体が、本書で語られていた「文化」の一部なのだと思います。別々の場所でお仕事していても、Ruby やその界隈の大きな話題については共有できている感覚があるし、久しぶりに会っても「GitHub で Watch していたあのライブラリ、便利ですよね〜」なんてところから会話を始められたりするこの感じ、ぼくは大好きです。
まとめ
ご献本をいただきまして「スタートアップRuby」を読みました!夏の暑い日に読んだので、目に汗をかくような気持ちの昂りとともに読みました。
筆者さんにとっての「なぜ Ruby か」がめいいっぱい語られていて、自分にとっての「なぜ」をあらためて考えてみるきっかけをもらいました。これからの自身のプログラマ人生や、キャリアプランを考えている人は、いくつかある選択肢のひとつになるであろう「Rubyの道」をのぞいてみるつもりで、本書をめくってみるとよいと思います。「プログラミング言語 Ruby と生きていく」ということについて、いくらかの未来を視ることができるでしょう。
おまけ
無事に著者RTをコンプリートしたので、次はサインをコンプリートしたい!