一昨年の Kosen Advent Calendar 2010 : ATND と、去年の Kosen Advent Calendar 2011 : ATND に続いて、今年も Kosen Advent Calendar の企画と運営を担当しました。
過去2年の実績をみて、25人の枠ならあっという間に埋まるだろうし、運営もそんなに大変じゃないだろうと考え、今年2012年は新たな試みとして「Kosen Advent Calendar By Teachers」に取り組んでみました。
これは、その名の通り「高専関係の教職員のみなさん」を対象としたアドベントカレンダーです。アドベントカレンダーが「ブログ文化」に根差したものなので、ふつうに開催すると「もともとブログを書く習慣のある人」が集まりやすいと思います。事実として、過去2年の「高専」をテーマとしたアドベントカレンダーに参加してくれたみなさんも、そうであり、そしてまた、身分としては「高専の現役生、もしくは卒業生」がほとんどでした。
なので、今回は「全国の高専の教職員のみなさんの声を集めてみたい」と思い、そのようなイベントとして「Kosen Advent Calendar By Teachers」を企画しました。
というわけで、以下の2つ、ぼくが企画・運営に関わったアドベントカレンダーの編集後記を書きます。
また、全3年分の全エントリーへのリンク集がこちらです。
印象に残っていること
学生の方は、北海道の子たちの参加が多くてびっくりしました!
「高専カンファレンス in 釧路」に参加してきたに書いた通り、11月に、北海道の釧路市で高専カンファレンスがあって、その熱気が残っているうちに「アドベントカレンダーをやるよ!」ってお知らせしたら、釧路で一緒にワイワイした子のうち3人が一気に参加登録してくれたのでした。その様子を見てさらに続いてくれた子たちがいて、ぜんぶで10人くらいの「北海道内の高専の現役生・卒業生」が記事を書いてくれました。ぼくは道産子ですし、顔を合わせて言葉を交わしてきた子たちがイベントを盛り上げてくれるのはとてもうれしかったです。
先生の方は、ぼくの力不足で、25個の枠をすべて埋めることはできませんでした。それでも、企画の内容に共感してくれて手伝ってくれた方が何人かいて、おかげで、23個の記事を集めることができました!ほとんど伝がないところからスタートしたので、初めての試みとしては上出来かな、と思っています。
参加してくれた教職員のみなさんのうち、ブログをお持ちでない方が半分以上で、書いていただいた文章をぼくが受け取ってウェブにアップし、それを全国の高専に届けるという大事な役目をお任せいただきました。ただ参加登録して書き終えたらリンクを張っておく、という、よくあるアドベントカレンダーと比べると、ひとりひとりの参加者の人にお願いする作業量も多かったわけですが、それでも、きっと得体の知れないであろうこのイベントにご協力いただけて、本当に感謝です。
ここからは、強く印象に残ったエントリたちを、ちょっとずつの引用を挟みながら紹介したいと思います。
エントリ紹介
僕は素振りをする高専生や高校生、大学生、大人が増えて、自分だけでも、自分の周りの5人、10人を幸せにできるような人たちが増えるといいなぁと思いながら日々素振りをして過ごしています。この記事を読んで少しでもものをつくりはじめる人が増えるといいなぁ。
他人のことを思いやって行動してください。エンジニアは、人の役に立つものをつくりだす職業です。
学生は個性があって,一人ひとり違っていて,皆さん何かしら才能を持っていたりします.たとえば,プログラミングの才能があったり,素敵な(2次元の)絵が描けたり,文才があったり,数学や物理のセンスがあったり,音楽ができたり,ダンスができたり,学生それぞれが何か特別な能力を持っていたりして,ユニークな学生が多くてとてもおもしろいです.
ここで忘れてはいけないのは、高専生が何か始めるときに大切なことは、自分が高専生かどうかなんて関係ないということです。ムーブメントを起こすには理由なんて必要ありません。必要なのはきっかけだけです。
授業中にコソコソとTwitterに文句を垂れ流しているとか、暇さえあればニコニコ動画をボーッと見ているだけとか、他人の作ったものの上で踊っているうちに冴えないおっさんになったらつまんないよ。積分ってのは、無限小の足し算なんだよ。だから、できることならいい方向に足し上げていってもらいたいものです。そうやって何十年後かに自分の先生を超えることが、一つの恩返しなんだと思いますね。
プログラミングという科目は学生の能力差や好き嫌いの度合いが大きく分かれる科目です。そのため苦手な学生が嫌いにならないように工夫しながら授業をしています。テストでは平均点が80点になるようさじ加減しながら問題を作ります。そうすると、赤点が1~2人ぐらいのちょうどいい感じになるんですね。でも、平均80点ぐらいのテストをすると得意な学生がドヤ顔で100点をとる。問題を作る方からするとこれはとても悔しい。負けた感じになります。
そんなとき学生から物理の先生が100点阻止問題を出しているということを偶然耳にしました。
型を身につけたうえで,そこからはみ出すことを「型破り」といい,歓迎されます。
型を身につけずに,勝手に振る舞うことを「型なし」といい,嫌われます。
多くの工学教育に有効な栄養素を含んでいると考えられます.高専生のみなさん!衛星はとっても勉強になりますよ.
学生が勝手に「校風」に染まっていくのである.それは1年生を見るとよく分かる.昨年は雰囲気が悪かった機械工学科の1年生たちであるが,この前ひょんなことから授業を見学したら,いまや2年生となった彼らは高専生らしい「いい奴ら」になりかけていた.
まとめ
今年も「高専」をテーマとしたアドベントカレンダー「Kosen Advent Calendar」を企画・運営しました。ふだんはなかなか聞き出す機会のない、高専の現役生や、卒業生、教職員のみなさんの「声」を聴くことができた、いいイベントだったと思います。ひとりの読者としても、ずいぶんと楽しませていただきました。
また、多くの教職員のみなさんとメールでやりとりする機会にも恵まれ、この手の「高専を盛り上げる企画」に対するありがたいお言葉を頂戴したりもして、恐る恐るでもやってみてよかったなぁと感じています。今年は初だったので、そもそも「アドベントカレンダーとはなんなのか?」「そんなものに誰が参加するのか?」というところから出発しなければならなかったのですが、もし来年にも同様の企画を進行するとすれば、今回の企画に集められた記事たちが強力な実績になってくれることでしょう。
ご参加いただいたみなさん、どうもありがとうございました!