年明けあたりから「いきものがかり、すごい」ってお話をいくつかの場所で見かけて、なるほど、すごいのか、と思いながら過ごしていた。
いきものがかりの「風が吹いている」がすごいのは、やっぱり最後の「La La La…」っていうコーラスのところだと思う。あれを入れるのは相当な勇気がいるでしょ。作り手が「これは壮大なスケールの曲ですよ」ってことを自ら宣言してるわけだから。普通だったら気恥ずかしくてそんなことできないし、さりげなく作った小品ですって言ってたほうがどんだけラクか。
ほいでこの「La La La…」のお話を読んで、興味を持って「風が吹いている」という曲を聴いてみた。…んだけれど、その壮大な感じとかは、正直なところ、よくわからなかった。聴き方を間違えているのかもしない。ぼくも「おお、壮大だ、すごい」ってなりたい。
曲中に「巻き込み」を組み込む
「聴き手も一緒に〜!」みたいな箇所を曲中に用意するのは、けっこう昔からある手段なのだろうと思う。
ほいで、ここからはゴールデンボンバーのお話しかしないのだけれど、ぼくはゴールデンボンバーの曲が「自分たちのライブが楽しいものになるように」設計されている感じがして、なんか好きだ。ぼくはライブに参加したことはないんだけどね、ライブの映像を色々と見ていると、曲によって会場に一体感がもたらされる印象を受けて、とにかく好きだ。
「トラウマキャバ嬢」のサビの途中でギターソロが2拍だけ入るところがあって、あれはライブでは見せ場になるのね。ほとんどギターを弾かない喜矢武さんだけれど、2拍だけちゃんと弾く。ちゃんとギターを弾く人がいたら、あんな曲の構成にはならないんじゃないかなぁと思うところもあって、本当にあれは「ゴールデンボンバーの、ゴールデンボンバーによる、ゴールデンボンバーとライブ参加者のための曲」って感じで、大好きだ。
「レッツゴーKY」って曲は、もうモロに会場参加型。「レッツゴーKY イケイケゴーゴー」っていうシンプルなフレーズを、会場の席ごとのグループで順番に歌っていく。最後には「会場全員で!」って言うことになっていて、すごく楽しい。よくある「アリ〜ナ〜!」みたいなのをやりたくて作った曲なんじゃないの。
「イヤホン」は、音源の時点で「あぁ君にそんな歌届けばいいのにな」が女性たちの声のコーラスになっている。なのでライブでも当然、そこはお客さんたちのコーラスで歌われて、壮大な感じになる。
古い曲では「まさし」がおもしろい。「ゴールデンボンバーのことをよく知らないって人でもメンバーコールを楽しめるように」みたいなコンセプトがありそう。メンバーを順番に紹介していくんだけれど、「次はギター、ギターのまさしだー!」って感じで、全員を「まさし」として紹介する。それだけわかれば、会場にいる人は誰でも「\まさし!/」と叫ぶ盛り上がりに参加できる。楽しい。これは、まだゴールデンボンバーが一気に売れる前の曲なので、そういった状況で、他のバンドたちと一緒にライブハウスで演るときに、彼らのプレゼンスを示すための武器になっていたはず。
あとは「†ザ・V系っぽい曲†」かな。歌詞の中に「メンバーコール」とか「アンコール」とかが入っちゃっている。あれを入れるのは相当な勇気がいるでしょ。作り手が「これは壮大なスケールの曲ですよ」ってことを自ら宣言してるわけだから。普通だったら気恥ずかしくてそんなことできないし、さりげなく作った小品ですって言ってたほうがどんだけラクか。
ガラスがパリーンって割れる音、音源で聴いていたら別になんとも思わないんだけれど、ライブではそこでわざわざグラスを持ち出してきて、曲のタイミングに合わせて床に落とすのよね。あれも完全にライブ用。鬼龍院さんは「音をメディアに保存して売る」っていう考えをしていないと思うんだ。音を一緒に楽しめるような場を提供して、そこで対価をもらおうとしている感じ。新曲とかを YouTube でばんばん公開しちゃうのも、そこでお金を取ろうとしていないからだと思うんだよね。