FFなめこ、バランスの取れた作品だなぁと思って、触れているといい気分になるので、好きだ。
既存のプラットフォームで成功をおさめた豪族は、強い「我」を帯びながら新しいプラットフォームに入場してくることがある。しかし、新旧のプラットフォームで「場のルール」に差異があると、豪族がその力を発揮できず、期待されたほどの結果を出せないこともある。
「iPhoneアプリ市場」が出現してすぐの頃、ヒット作を持つゲームメーカーは、とりあえず「iPhone版」を出してみる、というところから未知の大陸の探検をはじめたと思う。ぼくも「おお、あの名作をiPhoneでプレイできるとは!」と、いくつかのタイトルに飛び付いて購入した。しかしその中には、iPhoneの使用スタイルにゲームのプレイスタイルが合わず、それほどプレイしないものも多かった。
ここで、お話をFFなめこに戻そう。
FFなめこ、iPhoneで楽しく遊べるようにつくられていると感じる。10分だけ遊んで、それから3時間くらい別のことをして、また戻ってきて10分遊ぶ、みたいなスタイルが許容されている。これは、いわゆるRPGゲームとしてのFFとは別の作品だ。iPhoneアプリの未読数バッヂの使い方ひとつを見ても、iPhoneアプリをよく研究している証であろう。
かといって、FFブランドを捨てているわけでも、ない。FFシリーズのファンならついつい「ウオーッ」と声をあげてしまいたくなるような、キャラクター、マップ、敵キャラ、アイテム、技などなど、FFブランドが輝いて見える。強いていえば、クリスタルと課金を紐付けているのは、ぼくにとっては少し残念な世界観だけれども、まぁ、小言のレベルだ。
こうなってくると、新規参入を狙って勝負する若いメーカーにとっては、なかなか厳しい状況かもしれない。莫大なノウハウと強力なブランドを有するメーカーが、新しいプラットフォームのルールの上でも勝負してくる。これは「素早い巨人」である。真っ向勝負で勝つのは、なかなか難しそうだ。
ぼくは、ソフトウェアに触れるときは、なんとなく「これの開発に関わっている人は、幸せなんじゃないかなあ」ってことを感じる、というか、想像するのだけれど、FFなめこの開発チームの人たちは、これをリリースできて誇らしい気持ちなんじゃないかなって思っている。だから、好き。