自分が日々のコミュニケーションの中で「これを重要視しているな〜」と気付いたものがあったので、整理のために書きます。ここでは「情報をやりとりする」タイプのコミュニケーションを扱います。
そもそもコミュニケーションとは、異質な2つのものをつなぐためのものです。もし、あなたとぼくが完全に等しい存在であったとしたら、そこにコミュニケーションは必要ありません。我が家はなかよし夫婦だとは思いますが、奥さんとぼくは異なる存在であり、性格も価値観も所属も経験してきたことも違うので、その差分を楽しむために日々コミュニケーションを取っています。はい。
「相手と自分は違うものである」という前提が、とっても大事。そう考えると、誰かとコミュニケーションを取るときには「自分の側にあって、相手の側にないもの」を正しく伝えることが重要であるということがわかってきます。
お仕事でのやりとりを想像してみても、そうですよね。ぼくはソフトウェアエンジニアなので、他の職種の人とやりとりするときには「ソフトウェアエンジニアリング」の観点から他のみなさんに情報提供することを心がけています。
また、スケジュールの相談についても同様です。ときに、恐らく相手を思いやる気持ちによって、作業をお願いする側が「そんなに急がないので、今やっている作業が終わってからでよいです」と言ったりします。それに対して引き受ける側が「すぐ終わるんで、今からシュッとやっちゃいますね」と返したとしましょう。
- 「そんなに急がないので」はけっこう曖昧なので、より詳細な情報を伝えられるとよさそう
- たとえば「今日中に終われば最高、今日で終わらなそうな場合はいつ終わるか知りたい、今月中に終わらないようなら相談したい」くらいの情報があると判断に役立つ
- 「今やっている作業が終わってからでよい」は、自分より相手の側の事情に立ち入っているので、確度の高い言及はむつかしそう
- このやりとりでは結局、引き受ける側が「すぐにやっちゃった方がいい」と判断している
お願いする側がどれだけがんばったとしても、引き受ける側の都合を100%理解して引き受ける側の代わりに判断することはできませんからね、そこに力を注ぐよりは、自身が持っている情報を適切に示して引き受ける側が判断しやすい状況に近付けるのが得策でしょう。ポイントは「相手を思いやること」と「自分が持っている情報を正しく伝えること」は両立できるということです。前者だけを考慮しようとして「なんだか忙しそうに見えるし、今日中はむつかしそうだから、今週中でお願いしてみようかな…」と想像することはできますが、どこまでいっても想像することしかできません。それならば、しっかり後者をこなしていくのが、誠実なコミュニケーションだとぼくは思います。
こういったやりとりは実際にちょくちょく見かけるので、それぞれの現場でコミュニケーションを改善できないか?を考えてみるのもよいのではないでしょうか。
(関連) 「わたしメッセージ」へ、そして「わたしたちメッセージ」へ。
以前に「わたしメッセージ」という考え方について書いたことがありました。これもコミュニケーションにまつわる話で、簡単にいうと「主語を “わたし” にしましょう」というものです。実は、主語を “わたし” にしてやりとりしていると、自然と自分側の情報を相手に伝えていくことになるので、あわせて紹介しておきました。