「高専カンファレンス in 釧路」に参加してきた (前編) の続きを書きます!
当日の朝のこと
「高専カンファレンス in 旭川」の実行委員長を務めた、旭川高専のさとゆくんが早い時間に釧路駅に着弾するというので、和商市場で合流して朝練することになっていました。練習メニューは、名物の「勝手丼」です!
勝手丼童貞ではありましたが、なんとなく「ごはんの上に、市場で売っている海産物を勝手に乗せて食べてよい極楽メニュー」くらいの認知はありました。しかし、いざ挑戦してみると!意外と!おばちゃんが!勝手に刺身を盛っていく感じがある!おばちゃんの勝手丼か!!!
それでも、たっぷり盛って1500円くらいで、贅沢すぎるくらいにおいしかったので大満足でした!また食べたい。
おばちゃんにされるがまま丼のあとは、ちょろっとだけ釧路駅周辺を観光し、それからすぐに釧路高専に向かいました。
いよいよ開会へ…!
釧路高専に到着したのは9時過ぎくらい。早すぎる。健康的です。ちょっこし、周辺をお散歩しました。10時過ぎには、実行委員のみなさんが設営などをはじめていたので、ぼくも会場入りしてお手伝いさせてもらいました。
受付のフローを設計したり、懇親会や遠足の申し込み締め切りの設定についてお話したり、配信チームのトラブルシューティングに付き合ったり。特に、受付チームのみなさんと一緒に、受付フローのプロトタイプをつくり、実際に参加者役の人を流し込んでみて(まぐろちゃんがトリッキーな動きをするので完全に異常系だった…)、そこで感じたことをもとに「似ているものは寄せる」「言葉だと多くの説明が必要なものは図式化して紙に書いてしまう」などを繰り返しているうちに、受付フローのバージョンが5つくらいアップしていったのがおもしろかったです。プロトタイピング、フィードバック回収、リファクタリング、パフォーマンスチューニング。まさに「ものづくり」を体験できたと思いますし、受付チームのみなさんが、チームとしてどんどん成長していく様子を見て、熱いものを感じました。
だんだんと人も集まってきて、その中には、在学中にお世話になった先生たちや、高専カンファレンスを通じて知り合った先輩・後輩たち、釧路のコミュニティで活動する人たちなんかもいて、挨拶をしたり、自分の発表内容をチェックしたりしているうちに、いよいよ開会の時間が迫っていました。
「高専カンファレンス in 長野」に参加したときに「校長先生が出てくるなんてすごい!」と驚いた覚えがあるのだけれど、今回の母校開催にも校長先生がさらっと登場していて「はわわわわ」となりました。よくもまぁ、こんな得体の知れない催しに、校長先生が顔を出してくれたものです。ありがとうございました。もしかしたら、EM高専カンファレンスが母校で好評だったことで、ちょっとは信頼してもらえるようになったのかもしれない、だとしたら、うれしい。
本会のこと
本会全体の流れは、偶然にしてはよくできすぎていた感じがします。
思い出したのは札幌Ruby会議03に参加したときのこと。マルチトラックのイベントでは成し得ない、会場全体に一体感が生まれていく感じとか、話者を入れ替えながらひとつのストーリーを紡いでいく感じとか、すごく心地よかったんです。
前後半3つずつに分けられた6つの一般発表は、6連釘パンチとして、釧路の現役生たちに刺激を与え続けました。ぼくもその一部になりたいと願いながら自分のトークに入魂しました。前半と後半の間に設けられた「ブクブク交換」と「ミニ懇親会」も、参加者同士が相互に影響を与え合う、やわらかくも刺激的な企画でした。
一般発表のあとの Lightning Talks は、当日の公募から選出されたにも関わらず、流れが素晴らしかった。おのです先輩のお話、それから大トリのまぐろちゃん先輩のお話は、この場で受け取った「刺激」という種に、水をやり、芽を育て、いつか花を咲かせよう、そして次は君が種を蒔きにいこう、なんて、この日の会場をずっと包んでいた雰囲気に未来の意味を授けてやるような、力強いメッセージになっていました。そして、締めくくりの、釧路開催の発起人さるびあ先輩の、フィンランドからのメッセージ。なんだこれは。よくできすぎだ!台本を書いたシェフを呼べ!
前編でも書いた通り、テーマの設定がすごくポジティブにはたらいていたのでしょう。
自分の発表のこと
「GTO」というタイトルで持ち時間10分の一般発表に応募し、採択されたので、登壇してきました。
じゅーんさん!!やったー!#kosenconf946
— のどかたつむり (@cathy044) November 17, 2012
GTO(^ω^)グレートティーチャー大和田(^ω^) #kosenconf946
— ななちん (@nananchy777) November 17, 2012
ファッションモンスター #kosenconf946
— やな (@tranquilizer69) November 17, 2012
ウェブブラウザを使用したデモが肝となる発表だったので、スライドウェアとウェブブラウザの切り替えコストが少なくて済むように、HTML ベースのプレゼンテーションツール Shower を選びました。いつものように、スライドだけを見ても何を言いたいのかわからないと思いますが、Shower はなかなかおもしろいので、興味を持った方は触ってみてください。
「もしぼくが母校の情報工学科で半年間の授業を受け持つことになり、テーマは自由に決めていいとしたら、なにをしようか」と考えたときに、今回の発表でお披露目した「ユーザスクリプト特論」をやってみたいと思ったのでした。
ユーザスクリプトとは、たとえて言うならば「ウェブ用の卓上調味料」です。あるウェブページのコンテンツの内容は、その管理者が決めることであり、通常、閲覧者が発信内容を書き換えることはできません。ユーザスクリプトは、コンテンツを受信したあとに、自分のマシンの上で自分専用にその内容を書き換えることができます。これは、ラーメン屋で出されるラーメンの味は店主が決めるものだけれど、出てきたラーメンに胡椒や一味を振って味を自分好みに調整できる、卓上調味料のようなものです。発表の場でも、そんな説明をしました。
10分の発表の中で、いくつかデモをお見せしたのですが、このエントリでは、そのうちのひとつ「釧路のやぼう」をご紹介します。この JavaScript を読める人なら、すぐに何をしているかわかってしまう、とても単純なユーザスクリプトです。
この kushiro-no-yabou.user.js ってヤツをデスクトップにでも保存しましたら、Chrome の「拡張機能」の画面を開いて、ドラッガンドロッしてやるとインストールできるかと思います。また Firefox であれば、拡張機能の Scriptish を入れておくと「釧路のやぼう」も動きますし、様々なユーザスクリプトを動かせるようになって便利です。
なんとなく想像が付くでしょうか。これは、日本全国にある「高専の名前」を片っ端から「釧路高専」に書き換えるべく極秘開発されたユーザスクリプトです。このユーザスクリプトをインストールした状態で日本の高等専門学校一覧 – Wikipediaや、もしくは高専ロボコンの大会結果のページなんかを見てもらえると、その暴れっぷりを感じてもらえることでしょう。
(同日に「高専カンファレンス in 富山」を開催していた富山高専とは友好関係にありましたので、このユーザスクリプトでは富山は標的から外しています、命拾いしましたね)
これ自体は「デモンストレーション用」「インパクト重視」「実用性皆無」「むしろ実害あり」というところなのですが、伝えたいメッセージは、しっかりと込めてありました。
釧路高専の情報工学科のみなさんが日々の課題で取り組んでいるものに比べると、このユーザスクリプトは、処理がとても単純であり、データ構造は配列しか使用しておらず、制御構造もループしか使っていませんし、むつかしさはほとんどありません。ただし、HTML や DOM のこと、正規表現のこと、そもそもユーザスクリプトのことを知らなければ、こういったシンプルなものでも、完成させて動かすことはできません。
はっきり言いましょう。釧路高専の情報工学科の現役生のみなさんは、きっと「勉強」はよくできる子が多いけれど、圧倒的に「練習」が足りていないと思います。「こういうの、つくれそう」「こういうの、あったら便利そう」と発想する練習の機会が、あまりありません。そこにひとつ変化を起こしたくて、ユーザスクリプトを紹介しました。一度でいい、たった一度でいいので、騙されたと思って、自分でユーザスクリプトを書いてみてください。そうすると、日々のウェブブラウジングの間に「おっ、ここを書き換えるとおもしろそう」とポイントを発見できる勘みたいなものが身に付きます。これは、ものづくりを生業にして生きていく上で、とても大事な勘です。ぜひ、意識的に育ててみてください!あっ、説教案件だ……… 他でもない、現役時代の自分に対する喝ってことでご容赦ください…
自分が書きたいコードを書けるようになれば!自分の世界を少しずつ書き換えていくことがッできる…!!激励です!!!
「世界を書き換える」 #kosenconf946
— Yasuna (@nasuya) November 17, 2012
懇親会と、そのあとのこと
懇親会では、きちんと懇親していてえらかったです、ぼく!「どんなプログラムを書いたらいいのかわからない」と話しかけてくれた子がいたので、その場で一緒にユーザスクリプトを書いたりしました。また、たまたま偶然にもプロジェクタとスクリーンがあったので、そこでは horesa.se を紹介しました。伝えたいメッセージは一般発表のときと同じで「自分でつくりたいものを見つけて、つくろう」です。
お疲れさまでした!
母校での開催となった「高専カンファレンス in 釧路」は、実行委員のみなさん、協力してくださった母校の関係者のみなさん、そして前のめりな参加者のみなさんのおかげで、極めて俺得で盛大に楽しいイベントでした!この場を借りて、あらためて、お礼を申し上げます!
現地のみんな、最高だったよ〜!(また会いたいね)
あとちょっとだけ続くんじゃ : 「高専カンファレンス in 釧路」に参加してきた (番外編)