これは 2018年オススメのマンガ Advent Calendar 2018 の参加エントリです。12 月 6 日を担当しています。きのうは @adarapata さんの WEB漫画「魔法使い」が完結するまで死ねない でした。
いちおう「12 月 6 日です〜」という体裁で書いていますが、これを書いている今は 12 月 16 日です。めちゃくちゃ遅れました。でも書きます。
今回ぼくがおすすめするのは東元俊哉さんによる 「テセウスの船」です。週刊モーニングで連載中の作品です。
テセウスの船 / 東元俊哉 - モーニング公式サイト - モアイ
テセウスの船
ちなみに「テセウスの船」というのはパラドックスのひとつとして知られる概念です。
テセウスの船(テセウスのふね、英: Ship of Theseus)はパラドックスの1つであり、テセウスのパラドックスとも呼ばれる。ある物体(オブジェクト)の全ての構成要素(部品)が置き換えられたとき、基本的に同じであると言える(同一性=アイデンティティ)のか、という問題である。
どんな漫画か?
公式サイトに記載されている紹介文がこちら。
1989年6月24日、北海道・音臼小学校で、児童含む21人が毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官・佐野文吾。その息子・田村心は冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。
事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に閉じ込められ、気が付くと1989年1月にタイムスリップしていた。
「殺人犯の息子」が真実を求め、辿る、哀切のクライムサスペンス。
タイムリープもののクライムサスペンスですね。ちなみに作者の東元さんは北海道出身のようです。ぼくは、北海道出身の人が描く北海道のシーンが好きなので、この作品のそういう部分も好きですね。
この作品を考える上でどうしても頭を過ってしまうのが三部けいさんの「僕だけがいない街」です。無論、これらふたつの漫画を比較してどっちがどうだとか論じるのは野暮だと思うのでそんなことはしませんが、雑におすすめすると「僕街が好きな人は、ぜひテセウスの船も読んでみてくれ!きっと楽しいぞ〜」になります。タイムリープもののクライムサスペンスで、北海道出身の作者さんが北海道のことも描いているのでね。
ただ、要素で見ると共通点は多いものの、作品としてはぜんぜん別のものなので、別物としてバッチリ楽しめます。
ネタバレしたくないけど、少し紹介したい
この作品を構成する重要な要素のひとつに「加害者家族」があります。ウェブ時代を生きる私たちにとって、もっと言えば、こんな辺鄙なところにある個人ブログをわざわざ読んでくれているあなたのような人にとって、加害者家族の生活については、なにかしら思うことがあるのではないでしょうか。なのかしらの事件の犯人とされた人が実名で報道されたとき、その家族の生活にはいったいどんな変化が生じるのか。事件とはまったく無関係だったとしても、家族というつながりがあるというだけで様々な影響を受けてしまうというのは、想像に難くないというか、実際にその手をトラブルをウェブ上で見かけたこともあるんじゃないでしょうか。
そういったところから物語が始まるので、ぼくは 1 巻の冒頭からグッとひきつけられてしまいました。主人公の田村心は、殺人犯の息子です。父親は本当に人を殺したのか。もしこれが冤罪だったとしたら、殺人犯の息子というアイデンティティとともに生きてきた自分の人生は、どうなってしまうのか。これが「テセウスの船」というタイトルとリンクするわけですね。
12 月 21 日に、最新 6 巻が発売!
冒頭で書いた通り、これを書いている今は 12 月 16 日なので、12 月 6 日のエントリにも関わらず 12 月 9 日に投稿されたツイートを平気で貼っちゃいます。
12.21(fri)
— 東元俊哉 「テセウスの船」連載中 (@toshiya_paris) December 9, 2018
発売 pic.twitter.com/u74pWPp3Dd
この記事を読んで少しでも興味を持ったあなた、まだ 5 巻までしか出ていないので今からでもすぐに追いつけます。6 巻が出るまでに、5 巻まで読んじゃいましょう!親切心で、Kindle のまとめ買いのためのリンクを置いておきますね。