#june29jp

キャッチーな言葉は人々の認識をあるところまで一気に引き上げるし、そこに留めもする

2019-06-01

大洪水のような情報の波の中を生きる我々の目や耳には、今日もキャッチーなフレーズが際限なく飛び込んできます。そういった、ある種の魅惑を持った言葉というのは、人々の認識レベルを一気に引き上げてくれる力を備えていると思えます。

たとえば、このサイトでも何度か言及している「心理的安全性」なんかはわかりやすいですね。「成功を目指すチームにおいて、心理的安全性は極めて重要」のようなキャッチーな文は、多くの人々に気付きを与えてきたことでしょう。

しかし、この一文だけを読んで満足してしまうと、その奥にあるものを見落としてしまいます。独自の解釈や誤解をもとに行動を起こしてしまっては、望まぬ結果にもつながりかねないでしょう。わかった気になって、実はちゃんとはわかっていないというのは、わかっていないと自認しているわかっていない状態より悪い結果をもたらすこともあります。

そういやある時期に、高速道路と大渋滞のメタファがあったな〜と思い出しまして、検索してみると、下記の記事がすぐに見つかります。2004 年の記事です。

インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞:梅田望夫・英語で読むITトレンド - CNET Japan

将棋の羽生善治さんの言葉として、次の一節が引用されていました。

「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということだと思います。でも、その高速道路を走り切ったところで大渋滞が起きています」

キャッチーなフレーズについても同じことが言えそうだな、と思いました。ぼくらはふつうに暮らしていると、わかった気になりまくってしまって、ちょろっと誰かと世間話をする上では役立つんでしょうけれど、がっつり議論をしようと思ったり、実のある取り組みにつなげていこうと思ったら、ひとつひとつの言葉や概念をしっかりと学んで、じっくりと向き合ってことになるでしょう。そうでなければ、わかった気になった人々の大渋滞に巻き込まれてしまいそうです。

「あ、いま自分は雰囲気でしゃべったな」と自覚するタイミングはちょいちょいあるので、自戒のために書きました。わかった気になってそこに留まるのではなく、わかった気になったところを始点として学べる人生にしていきたいです。

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