#june29jp

書籍「エンジニアリング組織論への招待」を読んだ

2018-03-21

決して読書が速くはないぼくでも購入から 5 日後には読み終わりました。スムーズに読めておもしろかったです。

エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング:書籍案内|技術評論社

読んでいて安心した

実のところ、この本を読んで新たにぼくが獲得した知識や視点というのはそれほど多くはありませんでした。なので、読んでいる間のぼくの気持ちは「うんうん、そうだよね、めっちゃわかる」という感じでした。ぼくがよくチームメンバーや後輩に言うようなことがたくさん書いてありました。

とはいえ、知識や視点をここまできれいにまとめて体系的に語るってのは今のぼくにはできていないことなので、これからエンジニアリング組織論を学びたいという人には、ぼくがいっしょうけんめい語るのを聞かせるよりはこの本をスッと渡す方がいいと思いました。大作です。すばらしい 1 冊だと思います。

著者の広木大地さんは 1983 年生まれなんですね〜。ぼくと同い年です。同世代だけあって、広木さんが文中で語る世界はぼくが見ている世界に近いんじゃないかな、という印象を受けました。世界観や社会観って、生きる時代に影響を受けますよね。

読書メモ

本書は、「不確実性に向き合う」というたった1つの原則から、エンジニアリング問題の解決方法を体系的に捉える組織論です。

「不確実性に向き合う」という全体を貫くテーマ設定がいいなあ。

「情報の非対称性」を解消するには、・自分の情報を相手に伝える・相手の情報を自分が聞くという行動をとればよいのですが、この当たり前のことができなくなってしまうケースがあります。

めっちゃわかるなあ…。あるいは「当たり前」と思われていないかもしれない。これに近い話は「これからチーム開発に立ち向かう花ざかりの君たちへ」というスライドの 34 ページ目あたりに書いたことがあります。

このように将来の自分が、今現在の自分をメンタリングしている状態を「セルフマスタリー(自己熟達)」を得たと表現します。

セルフマスタリーめっちゃいい。みんなセルフマスタリーを目指そう。

このような状態は「チームマスタリー」がある状態であるといえます。この「チームマスタリー」がある状態のことをアジャイル開発の用語としては、「自己組織化されたチーム」と呼びます。

もちろんチームマスタリーも目指そう。

エンジニアリングという言葉の指し示す対象を「方法不確実性の削減」だと狭く捉えてしまうと、「目的不確実性」や「通信不確実性」が形を変えて、方法不確実性の増大を引き起こします。エンジニアリング全体を「不確実性のシステム」の中で捉え、「不確実性削減のシステム」を追加することがエンジニアリング組織の役割だといえます。

不確実性を 3 種のカテゴリで整理して捉えているのも本書のいいところですね。だいぶ話がすっきりする。こうして文章にしてみると、エンジニアリングはめっちゃかっこいいやんけ。エンジニアになりたい!

システム思考、創発や自己組織化、禅のようなメタファーは、複雑系科学やシステム論の用語で、それを知らない人に伝わりません。通信不確実性こそ、対応していくべきことであるのに、その用語を乱暴に用いたり、コミュニケーションを断絶することに一役買ってしまいます。

ぼくは複雑系を専攻していた時期があるので、この手の概念は身近に感じられるのでした。ラッキー。でも、みんながみんなそうじゃないってことは覚えておかなきゃですね。いましめ。

私たちは感情的な生き物です。組織構造にしてもアーキテクチャにしても、「構造」が与える力は見えづらいものです。ですので、意識的・無意識的に個人の問題として隠してしまおうと、つい考えてしまいます。構造上の問題は、誰かのせいでないのと同じくらい、私たち自身を含んだ全員の責任でもあるからです。

はい、その通りだと思います。

しかし、根本的な問題が「構造上の問題」にあると気がつけば、対立は消滅します。解決すべき問題はその姿が見えてしまえば、「悩み」は「考える」に変わります。必要なのは、妥協でも、政治でも、卓越した技術力でもありません。組織やビジネス、プロセス、そしてシステムへの「エンジニアリング」なのです。

共感しかないなあ。エンジニアリング、めっちゃかっこいいやんけ(2回目)。今日も明日も、しっかりエンジニアリングしていきたいと、そんな気持ちになれました!

まとめ

ソフトウェア開発に関わっていて「なんだか、うまくいかないもんだなあ」と思っている人がいたら、試しに読んでみるといいんじゃないでしょうか。新たな視点を得ることで「なーんだ、そんなことだったのか」となる問題はたくさんあります。

本書は、問題の正体を理解するためのたくさんの視点を与えてくれる 1 冊です。それらは、とても体系的に筋道立てて書かれているので、よくわからん精神論や経験談ではない形で読者のもとに届きます。わかりやすく書かれているので、どなたにでもおすすめできます。

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