#june29jp

2009年をふりかえって

2009-12-31

去年は,12月の前半からふりかえりを始めていて,ゆっくり寝かせた文章をエントリに起こした気がする.今年はこの文章を書き始めたのが12月31日の夕方.年を越してしまう前に書き上げて投稿するよ.

4つのトピック

今年はどんなことがあったかなーって考えながら,浮かんだキーワードを MNEMOSYNE につらつらと書き出してみた.書き留めておきたいトピックは4つ見つかった.

  • メンタル
  • プログラミング
  • コミュニティ
  • 写真

メンタル

公私問わず,精神的にきつい時期が2回ほどあって,そのときに学んだことがある.

ここで引用を.

私は「反省会」(ちょっとネガティブな感じ)と訳さずに、「ふりかえり」と訳すことにしている。 「ふりかえり」が、従来の「反省会」や「問題分析会議」と違うのは、それが全員参加で、かつ、参加者の「感情」部分の働きかえるものであり、建設的だ、ということ。誰かを非難したり、問題を抽出することが目的ではない。メンバーが、次のステージへ向かうための勇気を得ることが目的だ。

プロジェクトの「ふりかえり」 — Retrospectives by Norm Kerth:An Agile Way:ITmedia オルタナティブ・ブログ

1年前,ボクは「ふりかえり」という語彙を持たなかった.「反省」という言葉は知っていて,何か一仕事終えたときに,自分やチームの「よくなかったこと」を列挙することはしばしばあった.そうしたやり方を捨てるように教えてくれたのは先輩だ.「じゃあ,次に何をしようか」を考えられるようになったとき,ボクがネガティブなイメージを伴って行っていた「反省」は,次にもっと上手に振る舞うための「ふりかえり」に姿を変えた.

そんな風に意識が変わってから改めて手に取ったのが「アジャイルレトロスペクティブズ」で,この本の「日本語版へのまえがき」の中に,先に引用した平鍋さんの言葉がある.

4274066983 アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
角 征典
オーム社 2007-09

by G-Tools

今年,ボクは「日々のふりかえり」を始めた.もちろん,明日をより力強く生きるためのものだ.このとき,大事にしている言葉は「悪いことにはならない」です.ふりかえりを行って,自分のやれることをすべてやったからといって,何もかもが上手くいくわけではない.だけどきっと「悪いことにはならない」って,それだけは心から信じてよくて,いつも勇気づけられている.

アジャイルレトロスペクティブズ

学んだことは「前への進み方」です.今度また,きつい時期が訪れたとしても,前を見て足を出し続けたい.

プログラミング

これまでの人生の中で,最もプログラミングを楽しんだ1年だったんじゃないかと思う.活動の成果はほとんどすべて属する会社の内部にしかなくて,外に向けてアウトプットできていないのはちょっとした心残り.

最近になって「プログラマの種類」みたいなことを考えていて,自分が取り組みたいことも少しずつ的を絞れてきた.これについては年明けに改めて書くつもり.一口にプログラミングといっても,プログラミングってのは手段でしかなくて,なんのためにプログラミングするかは,プログラマによって異なっている.それが面白い.

コミュニティ

去年に続き,コミュニティ活動に精を出した1年だった.

まず運営.1年を通して,高専カンファレンスの運営全般と,それから g1983ers の立ち上げとイベントの開催に注力した.

RubyKaigi2009にスタッフとして参加できたのも大きい.さらに,終了直後には運営委員長の角谷さんにインタビューする機会に恵まれたこともあって,色んな人たちがそれぞれに想いでコミュニティに関わり,コミュニティの全体像が形成されていくのだと,実体験を通して感じることができた.これらがボクのコミュニティ活動に多大なる影響を与えている.

発表者としてイベントに参加することも少しずつ増えてきた.発表はするのも見るのも聴くのも好き.発表は,人が「壇上と客席」に分かれはするけれど,人と人との会話であることに変わりはないと気が付いてから,ボクの取り組み方も変わった.発表者は,何か伝えたいことがあって発表の場に立っていて,そのときのために準備してきていて,会話を大いに盛り上げてくれる.発表の場の「みんなでひとつの話題を共有できる」感じがすごく好きだ.大切なのは空気を共有すること.

発表に関する本「プレゼンテーション Zen」の P.32 から紹介されている「セス・ゴーディン」の「プレゼンテーションとは、感情を伝えることである」などの言葉にはグッとくるものが多い.

4894713284 プレゼンテーション Zen
ガー・レイノルズ
ピアソンエデュケーション 2009-09-07

by G-Tools

コミュニケーションとは、他人に自分の観点を取り入れさせることである。自分がなぜわくわくしているのか(あるいは悲しいのか、楽観的なのか、など)を相手に分かってもらうことである。正確な資料を作成することだけが目的なら、会議をキャンセルして報告書を提出すればいい。

プレゼンテーション Zen

コミュニティ活動について,もうひとつ.いくつかのイベントに参加して「楽しい!」と繰り返し叫んでいたら,新たにイベントを初めようとしていた友人から声が掛かった.イベントのコンセプトに共感して,キックオフミーティングに参加した.そこで出会ったメンバーたちがこれまた熱い人たちで,その場の雰囲気もよくて,嬉しくなって写真をバシバシと撮っていたら,イベントのカメラマンとして彼らをお手伝いさせてもらえることになった.

とても良いポジティブフィードバックだった.「嫌いなもの・苦手なもの」よりも「好きなもの・得意なもの」を態度でアピールしていこう.小さなところからでも,自分の明日は良い方向に傾く.

コミュニティ活動に「幅」も「深さ」も出てきた1年だった.

写真

最後のトピックは写真です.とてもとても写真が楽しかった.この1年で,数え切れないくらいの写真を撮った.

「写真の雰囲気が変わったよね」と友達に言われて,照れくさかったけど心から嬉しかった.自分でもなんとなく感じられるくらい,自分の撮る写真が変わってきた.写真のことだから言葉にするのは難しいのだけれど,なんというか,1枚1枚の写真に表情が出てきた感じがする.

写真を撮るってのは,この世界に無限に存在するカットの中から,あるひとつだけを選んで抜き出すことだ.無限の中からひとつを選ぶ行為.その無限分の一は,無限分の一の価値しか持たないものだろうか.二度とは訪れないその瞬間を想って写された写真には,人の心を豊かにする確かな力が備わっている.

今年の後半から「もっともっと写真を撮ろう」と思うようになった.ちなみに,ディケイドを見て感化されたわけではない.

友人たちが撮ってくれる「自分の写真」にもお礼を言いたい.自分のブサイクな顔はなかなか好きにはなれないのだけれど,みんなが撮ってくれる写真のおかげで,ずいぶんと愛着を持てるようになってきた.思い切り楽しそうにしているボクの写真を撮ってアップロードまでしてくれる友人たちは,きっとボクのことを嫌ってはいないだろう.どうもありがとう.



写真を撮って感謝されるってのも気分が良いものだ.カメラ好きの友人たちの中に身を置いていると忘れがちだけれど,一眼レフのカメラを持っている人はなんだかんだで少数派であって,友達の結婚式なんかに行くとよく撮影をお願いされる.ボクの腕でよければ,と快諾して,イベント終了後に写真一式を贈ると,これがすごく喜ばれる.ああ,写真撮影をライフワークにしていてよかったなあ.

まとめ

この年末は,あまり人に会うことなく独りで過ごしていて,実はこの文章を書き始めたときには気分がけっこう落ちていた.ネガティブなエントリになったらイヤだなぁと心配していたけれど,ちゃんと前向きなふりかえりエントリになって安心したよ.ゆっくりじっくり1年を思い返してみたら,楽しいこと,ステキなことをいっぱい思い出せるじゃないか.

4つのトピックに分けて書いてみて気が付いたこと.すべてのトピックは,自分の中で「コミュニケーション」につながっていた.「日々のふりかえり」は自分とのコミュニケーション,「コミュニティ活動」は出会いと意思伝達を加速するコミュニケーション,「写真撮影」は友人たちとのコミュニケーションを豊かにしてくれる媒体であり,そしてボクはコミュニケーションの改善に貢献できるプログラマでありたい.2009年は,よりよいコミュニケーションを考え続けた1年だったと言える.

ところで,去年の締めくくりエントリにはこんなことを書いていたよ.

目の前に迫った来年,2009年は,2008年に蒔いたたくさんの小さな種に,水をあげる年にしたいなぁと思っています.人々との「出会い」を「人脈」に,得られた「知識」は「応用」に,この身を巡った「想い」は「感性」に,それぞれ発展させて,日々をますます充実させていきたいです.今年とは,少し立ち回り方が変わるかなーと思っています.

2008年を振り返る! – 準二級.jp

んんー,なかなか上手くいっているようだ.去年から継続して積み重ねたものも,今年新たに見つけたものも,確かにここにある.成長も実感できた.本音を言えばやり残したことはいくつかある…けれど!うん,いい1年だったよ!来年もどうぞよろしくお願いします.

最後に,1年をふりかえるために眺めた,今年書いたエントリたちです.このエントリを入れて63エントリ.毎週ひとつ,ぐらいのペースでは書いてこれたのだなあ.しみじみ.

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